路地裏にある故郷、成都の一角に密集する居酒屋に集まる日本人たち―中国

人民網日本語版    2016年10月25日(火) 6時10分

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四川省成都市にある大世界商業広場の油あかにまみれた路地を抜けると、外にむき出しになった厨房の排気管からスーツを着た矢崎さんと彼の同僚に向かって油まじりの煙を吐き出していた。

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油あかにまみれた路地を抜けると、そこには「故郷」の風景が。

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四川省成都市にある大世界商業広場の油あかにまみれた路地を抜けると、外にむき出しになった厨房の排気管からスーツを着た矢崎さんと彼の同僚に向かって油まじりの煙を吐き出していた。彼らはそんなことを全く気にした様子もなく、慣れた様子で道を曲がり、路地の奥にある居酒屋の扉を開けて中へと入っていった。(文/写真:康康。成都商報掲載)

いつものように矢崎さんは座ってからサラダ、たこ焼き、手羽先、餃子などのおつまみを注文した。もちろんビールも注文している。しかし、「朝日」しか飲まない同僚とは違い、矢崎さんはいつも最初に「青島」を注文する。この日本式居酒屋の青島ビールは彼だけのためにあるといえる。

矢崎さんはビールを飲み、生放送の日本のテレビ番組を見る。このように、故郷にいるかのようなぬくもりを感じながら、異国の地で平凡な一日を過ごす。

同市で働く矢崎さんや他の日本人にとって、大世界商業広場にあるこの日本式居酒屋は異国の地で彼らの心を癒してくれるオアシスのような存在だ。

 

酒を何杯か飲みながら、母国語の番組を見て、異国で平凡な一日を過ごす。

日本のドラマのワンシーンのような広場の裏にある「故郷」

カルフール大世界店の裏にあるやや寂れた商業広場は成都の日本人と韓国人にとってちょっとした社交場になっているといえる。さほど広くもない空間に10軒近くの日本料理店と韓国料理店が立ち並んでいる。ここでは毎日夜になると、スーツにネクタイ姿でビジネスバッグをもった男性たちが数人連れでやってきて、異国の言葉を話しながら、それぞれの店に入っていく姿が見られる。

成都の日本料理店の数は2年ほど前に比べるとかなり減ってしまったが、それでも雰囲気が異なる店がいくつか残っている。それらの店は、成都にある住宅地に新しくオープンしたような日本料理店とはその趣を異にしている。

隅の方に隠れるように建てられた日本料理店「和洋料理・気楽亭」の扉には「営業中」の札がかけてあり、その優しい明かりに次々と顧客が引き寄せられていく。ここは家庭的な雰囲気のある日本式居酒屋だ。狭い店内には、日本語のポスターや日本の雑誌、漫画があり、顧客が写った写真が壁に貼られ、サインボードなどが所狭しと置かれている。

扉を開くとすぐに、二人の若い女性店員が大声で「いらっしゃいませ」と日本語であいさつする。スーツを着て、眼鏡をかけた中年の日本人男性がご飯を食べながら、アサヒビールを飲んでいた。日本のテレビ番組を見るでもなく、動作はゆっくりとしていて、のんびりと時間を楽しんでいるようだ。その光景はまさに日本のドラマのワンシーンのようだ。

この居酒屋の店長は中国人だが、日本文化がずっと好きで、店の顧客とスポーツチームを結成しているという。店内にはさまざまな日本の会社のスポーツチームの集合写真や表彰メダルが飾られている。彼らは練習や試合の後、必ずチームみんなでこのこぢんまりとした居酒屋に押しかけ、深夜まで楽しく騒ぎ続けるのだそうだ。

 

そのにぎやかさに子猫も店に立ち寄る。

異国にある故郷の味

その夜、私もその居酒屋で深夜まで飲み続けた。午後6時に店に入り、アサヒビールを一杯また一杯と飲み続け、午後10時近くには真っ赤になった顔で店を後にするおじさんたちがいた。カウンターに一人で座り、飲みすぎて突っ伏して寝ていたかと思うと、急に目を覚まし、慌ててお会計を済ませる孤独そうな中年男性。夫の仕事の関係で子どもと一緒に成都にやってきたという日本人主婦たちは、日本語でぺちゃくちゃとおしゃべりし、近くにアジア人顔の青年が座るや、主婦たちは彼に日本人なのかどうか積極的に尋ね、熱心に「同郷」探しをするのだった。

海外にあるチャイナタウン同様に、荒廃と混乱の混じった暗い道を抜けると、その先には明るくて暖かい世界が待っている。優しい笑顔や慣れ親しんだ文字を見て、慣れ親しんだ臭いをかぎ、異国で感じる故郷の味で心を癒す。もしかすると、成都で生活する日本人や韓国人からすると、大世界商業広場も似たような存在なのかもしれない。そこは高級でにぎやかな場所ではないが、彼らにとって物寂しさにもなかにも温かみがある空間なのだ。(提供/人民網日本語版・編集/YK)

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