日本で過労死が頻発、企業の悩みの種に―中国紙

人民網日本語版    2016年10月14日(金) 22時10分

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日本で過労死が頻発し、企業の悩みの種になっている。

東大卒業後の昨年4月、広告大手・電通に入社した高橋まつりさん(当時24)は、インターネット広告を担当する部署に配属された。それからわずか8カ月後の昨年12月に、長時間労働が原因で、自らその若い命を絶った。三田労働基準監督署(東京)は9月30日、高橋さんが自殺した原因が、直前に残業時間が大幅に増えたことにあるとし、労災認定をした。昨年11月上旬にはうつ病を発症したとみられ、発症前1カ月の残業時間は約105時間に達していた。人民日報が伝えた。

高度経済成長期のころに生まれた「過労死問題」は、これまで30年以上も日本の社会で悩みの種となって来た。過労死ゼロに向けて、日本政府はこのほど初めて「過労死等防止対策白書」を作成し、今月7日に閣議決定した。同白書には、企業約1万社、労働者約2万人を対象に実施した厚生労働省によるアンケート調査の結果も記載されている。2015年、月80時間を超えて残業をした正社員がいる企業は23%だった。正社員で、自身の疲労の蓄積度について「高い」もしくは「非常に高い」とした人は32.8%。睡眠時間が「足りていない」もしくは「どちらかといえば足りていない」と答えた人は45.6%となった。過労死ラインを越える残業をしている正社員がいる企業の割合を業種別にみると、最も高かったのは「情報通信業」で44.4%。「研究や専門的な技術サービスを提供する企業」が40.5%、「運輸・郵便業」が38.4%だった。1カ月あたりの時間外労働が45時間を超える割合が最も多かったのは「運輸・郵便業」で、14.0%だった。

同白書は「過労死」の認定には高い壁があることも示している。15年度、厚生労働省が過労自殺(未遂も含む)で労災認定したのは93件に上る。しかし、その一方で、警察庁や内閣府がまとめたデータによると、勤務問題に起因する自殺は同年に2159件もあった。

労働時間が長いほど仕事の効率がよくなるわけではない。日本の会社員の労働時間は毎年2000時間以上。これに対して、ドイツは1300時間、フランスは1400時間。しかし、日本の会社員の労働生産率は主要7カ国(G7)のうち最低で、14年の労働生産性(就業者1人当たりの名目付加価値)は就業1時間当たりで41.3ドル(約4130円)で、米国より4割少ない。

過労死問題は1980年代後半から日本で注目を集め始めた。88年に改正された労働基準法は「1週間について40時間を超えて、労働させてはならない」と規定し、同年、「過労死110番」という全国電話相談ネットが立ち上げられた。06年から施行された改正版「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」は、労働時間の短縮だけでなく、多様な働き方に対応し、労働者の健康と生活に配慮できるよう、労働条件改善も促進している。また、14年11月から施行された「過労死等防止対策推進法」は、国や政府、地方公共団体に過労死対策を義務づける内容となっている。

日本経済新聞は、過労死問題を解決するためには、労働時間で報酬が決まる制度の改革を進め、労働の效率と成果をもっと重視するようにしなければならないと指摘している。日本の国会では現在、「働き方改革」が話し合われており、労働者が仕事と生活の調和を取れるよう、在宅勤務制度やフレックスタイム制などを採用するよう企業に奨励している。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

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