出版不況の日本「活況の中国に活路」と期待、中国代表団も「日中翻訳出版は平和友好に貢献」と呼応―日中出版界が東京で交流会

八牧浩行    2016年9月23日(金) 18時20分

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日本と中国の出版交流の促進をめざす第5回「日中出版界友好交流会」が、東京で「日中国交正常化45周年に向け出版交流と両国関係改善を考える」をテーマに開催された。写真は会場風景。

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2016年9月23日、日本と中国の出版交流の促進をめざす第5回「日中出版界友好交流会」が、東京・千代田区の衆議院第一議員会館で「日中国交正常化45周年に向け出版交流と両国関係改善を考える」をテーマに開催された。

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中国環球新聞出版、日本僑報社が主催し、日本書籍出版協会、中国駐日大使館、日中文化交流協会、日中友好協会、日中友好議員連盟などが後援。約160人が出席した。

交流会には中国側から任恵霊・新聞出版広電総局代表、王●<日ヘンに斤>朋・中国言實出版社社長(作家)ら中国出版界訪日団メンバー約60人のほか、中国駐日大使館の薛剣公使参事官らが出席。日本側から衆議院議員で日中友好議員連盟の近藤昭一幹事長、日本書籍出版協会の中町英樹専務理事らが出席した。

任恵霊氏は「日中両国には2000年を超えた交流がある。書物を媒介として日中友好の促進と新たな協力の道を切り開いていきたい」とあいさつ。薛剣公使も「両国の友好はアジア地域のみならず、世界の平和にとって不可欠。特に良書の相互翻訳出版を通じた交流は平和友好に大きく貢献する」と呼び掛けた。

中町氏は「日本の出版界を取り巻く環境は、人口減少と、電子化、読書以外の娯楽の伸長により極めて厳しいが、中国の出版界は好況で、アジア最大の市場として着実に拡大している」と指摘した上で、「中国をはじめとする海外に活路を見出していきたい」と語った。同氏によると、日本の昨年の書籍発行部数はピークだった1996年に比べ43%減。雑誌は50%以上も減少しているという。

基調講演として「日中関係と文化交流」と題し、元中国大使の宮本雄二氏(日中友好会館副会長、日中関係学会会長)が講演した。

パネルディスカッションでは「両国の信頼関係増進における出版界の課題」と題し、パネリストには、王●<日ヘンに斤>朋氏、南晋三・潮出版社社長、作家の石川好氏(『湖南省と日本の交流素描』著者)、翻訳家で麗澤大学特任教授の三潴正道氏ら日中の出版関係者、作家、翻訳家らをパネリストに迎えて、幅広い討議を行った。

中国の新聞、雑誌、書籍の発行部数は世界一。書籍分野では村上春樹、渡辺淳一ら多くの作品が翻訳されて中国でベストセラーに。中国語翻訳本は、販売不振に陥っている日本の出版業界にとって“救いの神”になると期待されている。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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