渡辺淳一文学館、中国大手出版社が購入「中国人の来館増が期待できる」=『失楽園』など今も中国で高い人気―東京で調印式

八牧浩行    2016年9月20日(火) 17時20分

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人気直木賞作家・渡辺淳一(1933〜2014年)に関する資料を展示している「渡辺淳一文学館」(札幌市)が中国の大手出版社に譲渡され、東京・港区虎ノ門ヒルズで調印式が開催された。写真は調印式風景。

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2016年9月20日、人気直木賞作家・渡辺淳一(1933〜2014年)に関する資料を展示している「渡辺淳一文学館」(札幌市)が中国の大手出版社に譲渡され、東京・港区虎ノ門ヒルズで調印式が開催された。

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渡辺淳一文学館は安藤忠雄氏の設計で、1998年に設立されて以来、大王製紙(東京、愛媛)が所有・運営していたが、中国・青島市の大手出版社「青島出版集団」に売却した。『失楽園』『愛の流刑地』『ひとひらの雪』などの渡辺作品は中国での人気が特に高いため、中国人観光客の一層の来館が期待されるという。

譲渡調印式では、青島出版集団の孟雷薫事長が「当社は夏目漱石、芥川龍之介、小林多喜二はじめ多くの日本人作家の作品を翻訳出版しており渡辺淳一の作品は特に中国人の間で人気がある。一方、中国語作品も日本で多数翻訳出版しており、相互に異なる文化の壁を乗り越え、出版や作家の交流を発展させていきたい」とあいさつ。渡辺淳一の次女の渡辺直子さんは「文学は国境を超えるということに感銘した。大変うれしく、日中友好を象徴する文学館として発展していくものと思う」と語った。

平岩堅志文学館館長は「今後、中国からの来場者の増加が期待できる。中国国内で広報活動を展開し、展示での中国語の説明も増やしたい」と言明。また、中国在京大使館の陳諍参事官は「来年の日中国交正常化45周年に向けとても意義深い。大使館としても今後とも文化交流の発展に協力していきたい」と述べた。

渡辺淳一文学館は、大王製紙が赤平市に赤平製紙を設立したのを機に、社会貢献の一環として、札幌市中島公園の隣接地に開館。渡辺淳一の生原稿や著書、写真などを公開、地下のホールでは渡辺作品の朗読会やコンサートなども開かれている。

同館は従来、渡辺淳一の監修を受けて展示替えなどを行っていた。2014年の没後はそれができず運営が行き詰まっていた。大王製紙の岡崎邦弘専務取締役は「海外からの来館客がこの5年間で3倍に増えた。その大半が中国人なのでさらに集客につながる」と期待を込めた。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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