街や人間の営みが消えた!原発事故の恐怖が静かに迫る―中筋純『流転・福島&チェルノブイリ』写真展、全国を巡回

八牧浩行    2016年9月1日(木) 18時10分

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原発事故後のチェルノブイリと福島を撮り続けている写真家・中筋純氏の展覧会「流転 福島&チェルノブイリ」が横浜市青葉区あざみ野南の「市民ギャラリーあざみ野」で9月4日まで開催されている。写真は代表的な18枚。

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2011年の東日本大震災により福島第一原発事故が発生。漏れた放射線によって、福島の人々と大地は深い傷を負った。30年前にはウクライナ(旧ソ連)のチェルノブイリで未曾有の原発事故が起きた。事故後のチェルノブイリと福島を撮り続けている写真家・中筋純氏の展覧会「流転・福島&チェルノブイリ」が横浜市で9月4日(日)まで開催されている。

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朽ちかけた部屋に横たわる人形たち。雑草が生い茂った線路や廃虚となった鉄筋アパートの先に見える原子炉。腐敗せずに形を残して枯れた大根や、甲子園出場校の双葉高校グランドに転がっていた、ぼろぼろになって変色した硬式野球ボール…。

会場には、中筋氏が撮影した福島とチェルノブイリの冷徹な現実が約120点展示されている。原発事故の共通性を訴えたいという狙いから、2つの大事故の写真が混在している。

中筋氏は「チェルノブイリと福島の原発事故は四半世紀の時と8500キロの距離を隔てているが、現象は同じ。街や人間の営みが消え、後世に伝えなければならない『沈黙』と『胎動』の光景が展開している。写真を観て、原発事故の災禍を想像し、考えるきっかけにしてほしい」と話している。

同氏は「放射能は人間の営みとか土地の歴史とか人間のつながりをすべて強制終了させてしまう」とし、「事故から年月が経つと放射能とか補償とか分断され、社会全体がイメージを共有できない状況がある」と懸念する。「チェルノブイリでも同じで、放射能被災地に行くたびに、恐ろしさに圧倒される。写真を通じて記憶をしっかりとどめて、再びこのような惨劇を起こさないよう、メッセージを届けたいと思った。私にできるのは弁舌で表現するより、写真できちんと表現することだと肝に銘じている」と力を込めた。

さらに、「チェルノブイリも福島も、住民はすぐに帰れると言われて車に乗せられた。それから子供たちは一度も帰っていない。8500キロの距離を隔て、25年の時間を隔て、同じように記憶を切り落としてしまった。人間がいなくなると、自らの傷を癒すかさぶたのごとく草木は大地を覆い尽くし、人間の造った構造物を飲み込み季節は流れていく」と、原発事故の不条理を訴えている。

中筋氏には、『流転チェルノブイリ』、『チェルノブイリ春』(以上二見書房)、『かさぶた―福島 The Silent Views』(東邦出版)など、多数の写真集がある。

今年2月に東京・銀座から始まった同展覧会は名古屋、京都、長崎など各地を巡回、来年3月に福島市で終了する予定。今回の横浜会場は横浜市青葉区あざみ野南の「市民ギャラリーあざみ野」で、9月4日まで。午前10時〜午後7時(最終日午後5時)。入場無料。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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