日本企業の不正は個別の事件ではなく、「制度的欠陥」「企業文化の弊害」が根本にある―中国メディア

人民網日本語版    2016年8月6日(土) 9時10分

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最近、三菱自動車やスズキ自動車をはじめとする日本の自動車メーカーで燃費をめぐる不正事件が相次いで発覚し、エアバッグメーカーのタカタもテストデータの不正が発覚するなどして、日本のメーカーは「誠実問題」に深くはまりこんでいる。写真は三菱自動車。

最近、三菱自動車やスズキ自動車をはじめとする日本の自動車メーカーで燃費をめぐる不正事件が相次いで発覚し、エアバッグメーカーのタカタもテストデータの不正が発覚するなどして、日本のメーカーは「誠実問題」に深くはまりこんでいる。このような1社にとどまらない、数年から時には十数年にも及ぶ不正の原因を一企業の道徳の崩壊や誠意の欠如だけに帰するなら、理解は難しくなる。問題の背後には、政府当局や企業自体の監督管理の欠如があり、企業文化の弊害、経済社会という大きな環境の影響などがあるのだ。新華網が伝えた。

まず、日本の自動車燃費テストの制度には穴がある。日本の自動車メーカーは新車種の発売に先立ち、国土交通省の外郭団体・自動車技術総合気候が関連の認証制度を踏まえて、同車種の安全性や環境性能を審査する。審査のチェック項目は30から50に上り、それには燃費も含まれる。だが燃費の計算で使用する基礎データ、たとえばタイヤと路面の摩擦、走行抵抗などのデータは、企業が独自に測定して申告したものを使用する。三菱の不正が発覚した後、同省が関連のデータを検証し直したところ、三菱が申告したデータのうち7項目はチェックすら行われておらず、監督管理機関が企業の提供したデータをそのままうのみにしていたことが明らかになった。

次に、企業自体の監督管理制度にも穴がある。三菱の今回の燃費不正事件で、最初に不正が発覚した軽自動車4車種のうち、「デイズ」と「デイズルークス」は日産にOEM供給し、日産が販売していたものだ。日産と三菱は2011年から軽自動車分野での協力をスタートし、三菱がデイズ、デイズルークスなどの日産ブランド車を製造して、日産に完成品を供給していた。だが15年11月になり、日産が両車種の次世代バージョンアップ車の開発準備作業を進める際、同省が規定する方法で燃費を測定したところ、得られたデータが三菱の報告したデータと食い違っており、最終的に三菱のデータ不正スキャンダルが発覚することになった。

タカタのエアバッグ事件も同じようなケースだ。タカタの問題あるエアバッグは10数年にわたり複数の自動車メーカーの安全監督コントロールシステムをすり抜けてきた。なぜだろうか。業界関係者は、「日本の自動車メーカーはサプライヤーを選ぶ前には非常に念入りかつ厳格に審査を行うが、サプライヤーになった後の審査はかなりゆるいものになる。メーカーの中にはサプライヤーの審査を毎年行わないところもある」と指摘する。

日本の企業文化や制度にも多くの弊害があり、これが企業内部の不正行為を発覚しにくくしている。また発覚しても、過ちを認めて修正するペースが非常に遅くなる。日本の投資ファンド・ニューホライズンキャピタル株式会社の安東泰志取締役会長は、「こうした不正を招いた原因の1つは、日本の『縦割り』の企業文化にある。つまり上下関係が中心になって運営が行われるところにある。このような環境の中、各部門の内部の人の動きは非常に少なく、同じ部門に十数年いるという人も少なくない。すると外部の人からはどんな問題があるのか非常に見えにくくなる」と説明する。

アナリストは、「リコール(回収)すべき車両の故障情報を隠匿していたにせよ、燃費データを改ざんしていたにせよ、組織全体で隠していたのでなければとても隠しおおせるものではない。日本の企業では製品の欠陥や不正行為を告発した社員は組織の敵とみなされ、左遷や回顧といった憂き目をみる。自らの保身のため、『賢明な』社員は不正を見ても見ない振りをするか、やむを得ず不正に荷担することになる」と分析する。

経済社会という大きな環境の影響も見逃せない。ここ数年、日本経済は不景気で、高齢人口がますます増え、子供が独立した高齢者はよりコンパクトな軽自動車に買い換えることが多い。そのため日本市場では軽自動車の人気が高い。また日本はエコカー減税とグリーン化税制を実施しており、同省が設定した排ガス基準と燃費基準を満たした自動車が減税の対象となる。対象車を買うと、自動車税や自動車取得税などが減免される。

そこで日本の消費者が自動車を買う際には、燃費が一番目の検討要因になる。自動車メーカーにしてみれば、製造する自動車の燃費指標が、とりわけ軽自動車の燃費指標が売上に直接関係することになり、メーカーの間では燃費をめぐって熾烈な競争が繰り広げられる。日本メディアの伝えたところによると、三菱自動車の研究開発費用は他メーカーより大幅に少なく、技術開発の遅れにより燃費競争で劣勢に立たされ、最終的にデータの不正に手を染めることになったという。

日本の自動車メーカーの燃費不正事件は独立した個別の案件ではなく、制度的欠陥、企業文化の弊害、大きな環境といった原因があいまって発生したものだ。こうした要因が根本的に改善されない限り、不正をもたらす毒の元を根こそぎ取り除くことはできない。(提供/人民網日本語版・編集KS)

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