米国は日本を無期限には守らない、沖縄が独立宣言、米軍撤退後の基地を中国が使用=『近未来シュミレーション2050―日本復活』著者が大胆予測

八牧浩行    2016年7月28日(木) 6時10分

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レーガン政権で商務長官特別補佐官として日米貿易交渉を担当した知日派の論客クライド・プレストウィッツ氏が、日米両超大国時代の到来を予見する著書『近未来シュミレーション2050―日本復活』について講演。日本を取り巻く「34年後の状況」について大胆予測した。

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2016年7月26日、レーガン政権で商務長官特別補佐官として日米貿易交渉を担当した知日派の論客クライド・プレストウィッツ氏が、日米両超大国時代の到来を予見する著書『近未来シュミレーション2050―日本復活』について講演した。「日本が置かれている現在の状況は大きく変化している」と指摘。日本は安全保障について「米国に無期限に守ってもらえるのか考えるべきだ」と問題提起した。さらに「米国にとって中国は脅威ではない。尖閣諸島も米国にとって何の意味もない。日本をどうして守らなければならないかという考えが米国内にはある」と言明。沖縄についても、激しい米軍基地反対運動を背景に独立宣言をし、米国を追い出して中国に使用させる可能性を示した。

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プレストウィッツ氏の発言要旨は次の通り。

1970年代の日本は今と全く違っていた。かつては勢いがあったが、今は停滞している。今後復活はあり得るかと自問自答した結果、この本を書いた。日本に対し「革命を起こせ」と呼び掛けたものだ。「2050年の予測」というよりもパラダイス・シナリオとして描いた。34年後には「三菱がボーイングを買収」「日本だけが脳移植を可能にした」「世界各国から留学生が日本に殺到する」などバラ色の姿を打ち出したが、その実現の確率は低い。ただ日本は、明治維新、第2次大戦後と2回にわたり、「奇跡」を起こした。思い切って刷新すればできないことはない。 生まれ変わろうとすれば可能であり、実現するためには対応策を講じなければならない。

日本が置かれている現在の状況は激変している。韓国の知人は中国を敵と見ておらず、同盟国として見ていると言っていた。中国と同盟を結ぶかもしれない。日本では大きな地震が頻発しており、アベノミクスも機能していない。世界経済が混乱している中で、金利がちょっと上がるだけで国債返済を通じて巨額の負担が生じてしまう。

沖縄の人々は米軍基地に対し、絶対反対を叫んでおり、その矛先は米国と東京(日本政府)に向けられている。沖縄では中国マネーがたくさん流入し、大リゾートをつくっている。独立運動も存在、独立宣言をし米国を追い出し中国に使わせる可能性もある。あり得ないアイデアではなく、西太平洋は大変な状況なので、様々なことが考えられている。沖縄のように中国本土に近いと、中国のミサイルからの防衛は困難という認識がワシントンで考えられている。米国は中国設定の第2列島線(伊豆諸島を起点に小笠原諸島、グアム・サイパン、パプアニューギニアに至るライン)は守るものの、第1列島線(九州を起点に沖縄、台湾、フィリピン、ボルネオ島に至るライン)は守らないかもしれない。横須賀基地がグアムや真珠湾に行ってしまう可能性もあり得る。

日本では悲観論が蔓延しているが、何とかしなければならないという危機感から、生まれ変われるチャンスがある。まず人口減少を反転することが重要な課題だ。向こう10年間で変革しないと遅きに失する。フランス、スイスは人口減少を反転させた。

さらに安全保障について米国に無期限に守ってもらえるかという点も考えるべきだ。米国にとって中国は脅威ではない。尖閣諸島も米国にとっては何の意味もない。日本をどうして守らなければならないのかという疑問が米国内にあり、重要な問題だ。米国は欧州、中東から既に実質的に撤退している。アジアへのリバランス(回帰)政策を取ると言っているが、これはTPP(環太平洋連携協定)のことを指している。ただTPPは米国で批准されないだろうが。米国に無期限に守ってもらうことは困難であり、韓国、ベトナム、フィリピン、インドとなどと、NATO(北大西洋条約機構)のアジア・バージョンを作ることも選択肢になる。

中国が2050年に覇権を握るという予測が多いが、この見方は正しくない。その理由として(1)中国の数値統計が正しくない、(2)中国は日本と同様に高齢化し労働力人口が縮小する、(3)環境汚染が激しい、(4)かつての日本と同様にインフラ投資偏重で、債務が急増している―などを列挙できる。

日本では60年〜70年代に経済成長し、奇跡が生まれたが、80年以降構造転換できなかった。しかし、今後諸課題を克服し、ITイノベーション・健康医療・ナノテク・新エネルギー分野を中心とした経済大国に発展するのは可能だ。2050年には3度目の奇跡を起こし、「新型の超大国」として繁栄できるかもしれない。(八牧浩行

<プレストウィッツ著、小野智子訳『近未来シュミレーション2050―日本復活』(東洋経済新報社、1600円税抜)>

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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