「日本語ができれば、日本にやられたことをやり返せる」=その言葉がずっと耳に響いて眠れなかった―中国人学生

日本僑報社    2016年5月1日(日) 19時40分

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中国には過去の歴史問題などから反日的な考えを持っている人が少なくないが、湘潭大学の馬暁暁さんは、学内で起きたある出来事をきっかけに、日中友好に自分ができる貢献について考えたようだ。

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中国には過去の歴史問題などから反日的な考えを持っている人が少なくない。そうした環境で日本語を学んでいる学生らの苦労は、想像に難くない。湘潭大学の馬暁暁さんは、学内で起きたある出来事をきっかけに、日中友好に自分ができる貢献について考えたようだ。

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中日友好のために、微力ながらも全力を尽くしていきたい」。この言葉は中日関係に関することを語る限り、何気なく使っている人がかなりいるだろう。実は、私もその一人である。しかし、今までのことを反省してみると、自分が中日友好に貢献したことは何一つなかった。

まず自分ができることから始めようとした。言葉は心の架け橋だとよく言われている。人と人の付き合いはもちろん、国と国との交流も同じく、言葉がいかに大切であるかは言うまでもないことだ。日本語学習者として、私はより日本語を身に付けるために、学内で「日本語コーナー」を始めた。初めの頃、参加者は日本語学部の学生だけだったが、2カ月経たないうちに、近くの大学から来た日本語学習者や日本語学部以外の学生も集まるようになってきた。ある日、コーナーで日本語学習をテーマにして、参加者に話してもらった。すると、みんなは活発に話してくれた。

ところが、一人の参加者の発言に呆気にとられてしまった。それは、「日本が中国を侵略したことはどうしても忘れられない。日本語ができたら、いつか絶対日本にやられたことをやり返せる」というものだった。その日の夜、私はなかなか眠りにつけなかった。あの言葉が耳にずっと響いていた。そして、いろいろ考えた。私たち若者は中国の未来の担い手である。しかし、もし日本あるいは日本人に憎しみを持っている若者が将来中国の中堅になったとしたら、両国関係はどうなるだろうか。そう考えると、じっとしていられなかった。

日本語コーナーの目的を見直した。日本語コーナーは、参加者の日本語レベルを高めることにとどまらず、参加者の日本や日本人への理解を深めるべきだと考え直した。私は、さっそく行動に移した。まず、資料室や先生たちから貸してもらった書籍を頼りに、日本語コーナーで中日友好の歴史を紹介した。また、日本社会、日本文化を描いた映画などを参加者に見てもらった。日本に留学した先輩たちに日本や日本人の感想などを話してもらったりもした。

そうした苦心が実った。ある日、コーナーで「四川大地震」について話した時、ある男子学生が教室の前に来て、「皆さん、静かに。DVDを見せるよ」と言った。DVDは地震で破壊した住宅、肉親を失った人の絶望の目付き、救援作業に取り組んでいる人民解放軍、被災者を慰めている温家宝首相の姿など、画面が次々に変わっていった。日本の救援隊、医療チームも登場してきた。最後のシーンは、日本人が四川大地震のために寄付している場面だった。四川省で教師をしていた日本人教師が、涙ながらに「四川の皆さん、頑張ってください。私も頑張りますから」と励ましていた。DVDはそこで終わった。

教室は悲しみに咽ぶ声ばかりだった。そこへ、さっきの男子学生は「中日友好のために、皆さん一緒に頑張ろう!」と叫んだ。その時、私は改めて彼の顔を見つめた。彼はまさに先日、「日本にやられたことをやり返せる」と言った人だった。目を丸くした私を見て、彼は「ごめんね。この前はひどいことを言って。君のお陰で本当の日本人や日本を知るようになった。この映像は、君のために作ったんだ。本当にありがとう」。彼の話を聞いて私は何も言えず、彼と抱き合った。

実は、私にもできることがいろいろある。私は若い。しかも、日本語がわかるのだから。今後も日本語を生かして、自分が知っている日本、日本人を多くの中国人に伝えたい。その第一歩として、日本語コーナーを通してより多くの大学生に先入観にとらわれず、本当の日本と日本人の姿を知ってほしい。(編集/北田

※本文は、第四回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「私の知っている日本人」(段躍中編、日本僑報社、2008年)より、馬暁暁さん(湘潭大学)の作品「中日友好のために―私にできること」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。

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