「匠の精神」を追い求め過ぎて衰退した日本の製造業―中国メディア

Record China    2016年4月13日(水) 8時10分

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12日、ここ数カ月、中国では供給側の構造改革と関係がある「匠の精神」という言葉が大きな話題となり、政治家や学者、メディアなどが頻繁にこの言葉に言及している。資料写真。

2016年4月12日、ここ数カ月、中国では供給側の構造改革と関係がある「匠の精神」という言葉が大きな話題となり、政治家や学者、メディアなどが頻繁にこの言葉に言及している。中国の製造業は、「高品質」へと舵を切り、そのためには「匠の精神」が必ず必要という見方で一致している。しかし、日本の製造業の衰退を見ると、「匠の精神」も適度な位置にとどめておかなければならないという教訓も得られる。(文:蘇清涛[スー・チンタオ]新華網掲載)

20年ほど前、世界の家電市場では、日本のブランドがほぼ独占状態となっていた。そして、日本の「匠の精神」を、中国の企業の研究者が模範としてきた。しかし、ここ数年、日本の老舗ブランドの製品は、再起不能の状態に陥っている。

日本最大の総合電機メーカー・日立製作所で16年働き、現在、京都大学原子核工学、東北大学工学部などの非常勤講師を務める湯之上隆氏は、著書「日本型モノづくりの敗北」の中で、日本のIT製造業の数十年の栄誉と恥辱を振り返り、日本の製造業から4つの教訓を導き出している。うち、▽職人的な精神や技術者の技能に頼りすぎ、製品の標準化と汎用化をおろそかにし、低コストで大量生産する能力が圧倒的に不足していた▽性能と指標を過酷なまでに追求した結果、市場の実際のニーズのレベルを軽視し、必要のないコストを投入し、市場に変化が起きた時に研究開発の中で速やかに製品の調整を行えなかった―この2つは、「匠の精神」と関係がある。

経済学者の宋清輝氏は取材に対して、「中国の製造業は『高品質』へと舵を切る際、値上がりもするということに注意しなければならない。人々の消費能力は確かに向上したものの、全ての人が高価なものを買うとは限らず、最終的には高品質で高価となると、供給が需要を上回る可能性が高い。企業がイノベーションを追求しすぎて、市場の実際の状況や消費者の受け入れ能力に留意せずに、一気に先端技術を発展させようとすると、最終的に製品の値段があがるだけで、買い手はつかないという状況になる可能性が高い」と指摘した。

そのため、中国の製造業が高級化への転換を図る際には、「匠の精神」を発揮すると同時に、度を過ぎるというリスクにも注意しなければならない。(提供/人民網日本語版・翻訳/KN・編集/武藤)

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