「日本人」が親方の条件、優勝36回、モンゴル出身の横綱白鵬に立ちはだかる「国籍の壁」

Record China    2016年4月3日(日) 21時40分

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2日、大相撲春場所で幕内優勝36回の偉業を達成した横綱白鵬。モンゴル出身の白鵬の前には親方として相撲の世界に残るためには「日本人」でなければならないという「国籍の壁」がある。資料写真。

2016年4月2日、横綱白鵬が3月の大相撲春場所で36回目の幕内優勝を果たした。「昭和の大横綱」大鵬の32回、千代の富士の31回、貴乃花の22回などを上回る前人未踏の大記録だ。しかし、モンゴル出身の現役最強の横綱には難関が立ちはだかる。引退後、親方として日本相撲協会に残るためには、日本人でなければならないという「国籍の壁」だ。

大相撲の世界では最近、外国人力士の活躍がめざましい。横綱は白鵬と日馬富士、鶴竜のモンゴル勢が独占。大関にも同国出身の照ノ富士が名を連ねる。

春場所の番付で見ると、幕内力士42人中、モンゴルの8人を筆頭に計14人が外国出身。3人に1人の計算になる。国籍もモンゴルのほか、ジョージア(栃ノ心、臥牙丸)、ブルガリア(碧山)、ブラジル(魁聖)、ロシア(阿夢露)、中国(蒼国来)に及ぶ。春場所で十両優勝し、来場所には幕内復帰が確実な大砂嵐はエジプト出身だ。

外国人力士で驚かせられるのは、その日本語。在日経験が数年でもテレビのインタビューなどで極めて流ちょうに受け答えする。母国とは全く違う厳しい世界で生き残ってきた「適応能力」の高さをうかがわせる。

力士の「寿命」は短く、遅くとも30歳代後半には現役を引退する。その後、相撲協会に親方として残り、部屋を持ったりするには幕内在位場所数などの条件をクリアした上で、105ある「年寄名跡」の一つを取得しなければならない。年寄名跡を取得しなくても、横綱は引退後5年間、大関は3年間を限度に、特例として現役当時のしこ名のまま残れる。

さらに、相撲界に大きな功績があった力士に贈られる「一代年寄」の制度もある。力士名がそのまま年寄名となるが、本人限りで通常の年寄名跡のように継承できず、定年になったり、廃業したりすれば消滅する。過去には大鵬、北の湖、貴乃花が対象になった(千代の富士は辞退)。

大相撲は「国技」を標ぼう。このため、相撲協会の規則には親方になれるのは「日本人」と明記されている。外国人力士で初めて優勝した米国出身の高見山や、武蔵丸(米国、元横綱)、琴欧洲(ブルガリア、元大関)、旭天鵬(モンゴル、元関脇)らは日本国籍への変更を選択。これに対し、国籍を変えなかった横綱経験者の朝青龍(モンゴル)や大関だった把瑠都(エストニア)は特例を適用されず、角界を去った。

優勝回数だけでなく、横綱通算白星、幕内連続勝ち越しなど数々の記録を塗り替えてきた白鵬の父親は、メキシコ五輪のレスリング重量級で銀メダルに輝き、モンゴル初の五輪メダリストとなった国民的英雄。白鵬自身、父と同じ国籍を捨てることには大きな抵抗があるとみられる。

そんな白鵬が狙っているとされるのが「一代年寄」から、「国籍条項」を外す道だ。31歳の白鵬は数人の内弟子を抱えており、引退後には自分の部屋を興す意欲は十分。一代年寄は幕内優勝20回以上が目安といわれ、資格は十分に満たしている。(編集/日向)

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