「子ども食堂」が全国で大はやり、困窮児童の「食」や「学び」を地域住民が支援=「子どもの貧困」は6人に1人―日本 

八牧浩行    2016年7月24日(日) 7時40分

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日本で「子どもの貧困」が深刻化し、教育格差、貧困の連鎖が広がっている。こうした中、地域の子どもたちを見守り、「食」や「学び」を支える「子ども食堂」ネットワークづくりが進行中だ。資料写真。

日本で「子どもの貧困」が深刻化し、教育格差、貧困の連鎖が広がっている。厚生労働省によると、最低限度の生活を保てないとされる「貧困ライン」以下で暮らす18歳未満の子供の割合「子どもの貧困率」は16.3%。生活保護を受けている、もしくは年収が生活保護費とかわらない低所得の家庭で育つ子どもが、6人に1人いる計算だ。先進国の中では突出して高く、特にひとり親の世帯では相対的貧困率が5割以上に達している。

こうした中、地域の子どもたちを見守り、「食」や「学び」を支えるネットワークづくりが進行中だ。その一つが「地域を変える。子どもが変わる。未来を変える」をモットーに、「子ども食堂」などを運営するNPO法人「豊島子どもWAKUWAKUネットワーク」(東京都)だ。2012年6月に「全ての子どもがおとなになることにワクワクしてほしい」という願いを込めて、地域住民や弁護士、大学教授ら80人以上がメンバーとなって発足した。

現在豊島区に3カ所ある「子ども食堂」の開催場所は、ボランティアの家庭やお寺の施設。子どもは無料、大人は300円で、月に2回、栄養バランスを考えたメニューの夕食を提供している。利用しているのは、共働きで食事の支度をする余裕のない家庭や、経済的に苦しいシングルマザーの子どもなど様々。食材のほとんどは寄付でまかなわれ、支援メンバーも全員ボランティアだ。

子ども食堂は一家団欒のような暖かさを味わえると好評で、子どもだけでなく母親たちも利用する。また、親の帰りが遅い子どもたちのための「夜の児童館」も開設。みんなででワイワイガヤガヤ夕飯を食べた後、大学生と一緒に宿題をしたり遊んだり、楽しいひと時を過ごす。

貧困家庭の子どもに学びの場を保障する「無料学習支援」も、同ネットワークの重要な活動だ。学習を支援する学生や地域住民との交流を通して、保護者とつながり、生活支援へと広げていく。進路や将来のことなど困ったときには相談に乗る。外国籍の子どもへの日本語教育も始めている。

さらに、妊娠や出産の段階から、地域のお母さんを訪ねケアする「ホームスタート」制度もスタート。切れ目のないサポートが可能となり、育児ストレスや虐待を防止できるという。

地域には不登校、虐待、外国籍、障害など、さまざまな困難を抱えた子どもたちがいる。栗林さんは「親の貧困によって、クラブ活動を諦めたり大学に進学できなかったりして多くのチャンス失う。大人になった時にまた貧困家庭をつくってしまい『負の連鎖』が生まれる」と懸念、「子どもたちが環境に左右されることなく、自分らしい人生を歩んでほしい」と熱望している。

子ども食堂活動は全国に拡大し、首都圏だけでも30カ所に達している。日本列島を縦断する全国規模の子ども食堂ネットワークがつくられ、今年1月には「子ども食堂サミット」も開催された。かつては地域の皆で子どもたちを育てた。信頼できる大人や若者に支援されれば、子どもの人生が大きく変わる。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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