<世界で活躍する日本人>世界の貧困・飢餓撲滅へ全力、「持続可能な開発目標」指標づくりに取り組む―大崎敬子・国連経済社会局統計部次長

八牧浩行    2016年2月13日(土) 7時50分

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ニューヨーク国連本部で「持続可能な開発目標(SDG)」の指標とりまとめ作業に携わる大崎敬子・国連本部経済社会局統計部次長が、東京都内で会見した。27年に及ぶ国連勤務の実態と今後の課題について語った。

2016年2月10日、ニューヨーク国連本部で「持続可能な開発目標(SDG)」の指標とりまとめ作業に携わる大崎敬子・国連本部経済社会局統計部次長が、東京都内の日本記者クラブで会見。27年に及ぶ国連勤務の実態と今後の課題について語った。

大崎氏は、昨年9月に150カ国以上の首脳が出席して、ニューヨークで開かれた「開発サミット」で採択された「持続可能な開発目標2030」(SDG)を測る具体的な指標づくりが、統計部の重要な任務になっている、と説明。加盟国の統計は信用できるかと問われ、疑問を抱き「確かめてほしい」と言って、その国とやりとりすることもあるとしながらも、「基本的には、その国の統計局の数字を国連は信用する」と述べた。発言要旨は次の通り。

SDGは「人々と地球のために、私たちの世界を転換させよう」という理想を掲げている。国連が取り組む大プロジェクトであり、前回の教育・保健衛生を中心とした「ミレ二アム開発目標」(MDG)を受け継ぎ、今後15年間に達成すべき17の目標と169のターゲットを設定した。目標は、貧困・飢餓の撲滅、健康と福祉、質の高い教育、ジェンダー(男女)平等、きれいな水と衛生、クリーンエネルギー、格差是正、経済成長、技術革新など多岐にわたる。目標を達成したかどうかを判断するのは統計数字であり、統計部が229項目もの指標づくりに取り組むことになった。

(加盟国の統計について信用できるかと問われ)統計がウソでは?と思うことは時々ある。「もう一度、確かめてほしい」と言って、その国とやりとりするが、政治的にセンシティブ(敏感)な問題もある。「わが国でこんなにエイズで死んでいるはずがない」といわれたこともあるが、基本的には、その国の統計局の数字を国連は信用する。

20歳の時、スリランカで2週間、ホームステイしたことが国連への道を歩むきっかけとなった。高度成長期の日本を初めて離れて、モノはないが楽しそうなスリランカを知った。途上国の暮らしはよくも悪くもショッキングな体験だった。

大学を出て国際開発関係のNGO(非政府組織)で働いたが、大学院レベルの知識が必要とわかり、25歳でOL留学し、国連の試験を受けたら採用された。国連での仕事は27年になるが、国連は職場環境が整い、女性であるが故に気を配ってくれるところもあり、居心地がいいところ。活躍されている女性の先輩の背中を見ながら頑張れた。

国籍が違っても志を同じくする同僚と働くことが可能で、達成感もある。ニューヨーク本部で働く日本人177人のうち、女性は7割近い。途上国の健全な発展の手伝いができ、やりがいがある。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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