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「日本式」を実践してみたけど…「これからは何の迷いもなく大声でしゃべりたいと思います」―中国人学生

日本僑報社    2015年12月7日(月) 10時8分

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「中国人は声が大きい」という印象を抱いている日本人は少なくないだろう。黒竜江大学の石岩さんは、「大声」をめぐる日本と中国の文化の違いについて、作文につづっている。資料写真。

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「中国人は声が大きい」という印象を抱いている日本人は少なくないだろう。黒竜江大学の石岩さんは、「大声」をめぐる日本と中国の文化の違いについて、作文に次のようにつづっている。

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日本語を学ぶにつれて、日本の文化や習慣への知識も深まり、私の母国の中国とは異なる点が多いことがはっきりと分かるようになりました。中でも私が一番感心したのは、日本には「TPOに合わせて声の大きさに注意しながら会話をする」という基本マナーがあることです。例えば公共の図書館や病院などではもちろん、満員電車の中でさえできるだけ他人に迷惑をかけない声で会話するように心がけなければなりません。私はこの日本の合理的な精神がすっかり気に入ってしまい、自らの学生生活の中でも実践することに決めました。

ところで、冬休みに私は母とちょっとしたけんかをしてしまいました。それは久しぶりの休みでゆっくり朝寝坊を決め込み、ぬくぬくとまどろんでいた私を、母が下から大声で何度も何度も起こしたからです。私は腹が立って思わず「うるさい!」と怒鳴り返してしまったのです。しぶしぶ起床した私は、母の不機嫌そうな様子を見てさらに言いました。「あのね、お母さん。何回も大声で叫ばなくてもちゃんと聞こえているよ。それと家の外まで聞こえるようなあんな大声は全く必要じゃない。体力の無駄だし、他人にも迷惑だ。今後はもっと小さな声でね。分かりましたか?」。

それなのに母は翌朝、変わることもなくいつもの大声で私を起こしたではありませんか。無性に腹が立った私は階段をかけ下りて母にきつく言いました。「もう、何度言えば分かってくれるんだ。声は小さくと言っただろう。大体あなたたち親があまりにも大声で話すから中国全体の評判まで世界中で落ちているんだ。他人への思いやりにかけ礼儀を知らない連中だと思われているんだ」。この時、母は驚いた様子でずっと黙ったままでした。私はがなり立てながら、母の顔を見て初めて言いすぎたかなと心配になりました。

それから何日か経ちました。気分転換のため外へ散歩に出た私は、尊敬するおじと偶然出会いました。彼は大声で「よう、元気か?飯食ったか?」と声をかけてきました。それに対して私は「はい、元気です。ご飯はもう食べました」と優しい声で答えました。おじは「どうしたんだ?元気がないなあ。どこか具合でも悪いのか?」と心配そうです。「でも、おじさん、大声で返事をしたら周りの人に迷惑をかけるじゃない」。おじは笑いながらさらに大声で「ばかだなあ、お前は。ここをどこだと思っているんだ。中国だよ。中国人なら中国人らしく言えよ。大声であいさつしたり笑ったりすることは、相手に自分の率直な気持ちを伝えるために必要なんだ。周りの人に迷惑なんかじゃないぞ。遠慮しないで大声ではっきりあいさつしろ」。

私はすぐ家に帰って母に謝りました。「あのさ、ごめんね、あんなひどいことを言っちゃって。やっぱり、以前通り大声でもいいんだよ」。その話を聞いていた母は「なんだい、真面目な顔をして。大丈夫だよ。全然気にしていないわ」とすぐ大声で笑いました。私はそれを見て心底ほっとしました。

このことによって、日本と中国の声の大きさの文化の違いがはっきり分かるようになりました。日本人は周りの人に迷惑をかけないように必要最小限の声量で会話しようとします。これに対して、中国人は相手への熱い想いと情熱から大声で直接伝えます。つまり、中国では大声でしゃべることによって、お互いに相手との絆を強く感じているのです。母の愛がこもった大声を感じていた私は、日中両国の声の大きさの相違を理解したうえで、これからは何の迷いもなく、大声でしゃべりたいと思います。(編集/北田

※本文は、第八回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「中国人がいつも大声で喋るのはなんでなのか?」(段躍中編、日本僑報社、2012年)より、石岩さん(黒竜江大学)の作品「大声で起こす母の声で気づいた中日の文化の相違」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。

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