<ノーベル賞>当の中国人は、中国伝統医学をどう考えているのか?

Record China    2015年10月7日(水) 1時28分

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5日、中国の薬学者・屠ヨウヨウ氏が、ノーベル医学生理学賞を受賞することが決定した。これを受けて、中国紙・環球時報は電子版上でアンケートを実施。「屠氏のノーベル賞受賞で、中国の伝統医学をより信じるようになりますか?」と問いかけた。写真は本日付の中国紙より。

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2015年10月5日、中国の薬学者・屠●●(トゥ・ヨウヨウ。●=口へんに幼)氏が、ノーベル医学生理学賞を受賞することが決定した。中国で初、そして悲願の自然科学分野での受賞。しかも84歳の女性が受賞したということで、大変な話題となっている。中国国営メディアの新華社通信などは速報でこの吉報を伝えた。

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屠氏は中国の伝統医学である「中医学」と西洋医学を融合すべく、長年の研究を進めてきた。中医学の治療薬の主な原料となるのは薬草だが、ここからマラリア治療の特効薬となるアルテミシニンという成分の抽出に成功したことが、高く評価される形となった。

彼女の受賞を受けて、中国共産党系新聞・環球時報は電子版上でアンケートを実施。「屠氏のノーベル賞受賞で、中国の伝統医学をより信じるようになりますか?」と問いかけ、6日午後4時時点で1351票の回答を集めている。うち、48%にあたる648人が「はい」、52%にあたる703人が「いいえ」と回答し、両者がほぼ拮抗した。彼らが回答理由として寄せた数々の意見から、中国人自身が中国医学をどう考えているかがよくわかる。以下は意見の一部。

■中国医学と西洋医学、優劣はつけられない

「中医学と西洋医学、優劣をつけるような問題ではない。両者は相互に補い合うべき性質のものだ。診断のついた疾病を速やかに治すのが西洋医学。病名のつけられないような雑多な症状も改善するのが中国医学」

「中国の伝統医学は万能ではない。西洋医学もまたしかり。ただ、中医学は5000年の歴史の中で、数多くの病人を救ってきたことは事実。これを全面的に否定するならそれもまた、科学的とは言えない見解だ」

■中国医学と西洋医学は融合するべき

「中医学は病因を根本から治すもの。西洋医学は症状を絶つもの(=対症療法)。両者を合わせたら、それは人類にとっての幸福となる」

「中医学ももっと科学的な側面から研究を重ねるべき。それが真の発展につながる」

■現実問題として、西洋医学に頼らざるを得ない

「風邪ひいても、生薬とか飲まないもん。タブレット1錠でおしまいだよ普通は」

「多くの中国人が中医学を信じているだろう。ただ、現代の生活はストレスフルでテンポが速いから、『飲んだらすぐに治る薬がほしい』と考えるものだ。最近、日本で中国人が風邪薬を買いあさっているのもうなずける。そして現代には技術と道徳を兼ね備えた優れた中医学の医師がいないことも問題。(※編集部注:一般的に中医学の薬は、継続的に飲み続けることで効果を発揮する性質のものが多い)」

「本質なことを言えば、中医学は経験の累積と総括から成っている。5000年の歴史があるからには、それなりの学問であることは間違いない。ただ、西洋医学というものはより客観的で、より科学的と言わざるを得ない。どちらにも優れた点があるけれど、西洋医学が医療の主体となることは現状として変えられないものだ」

■中国医学にも欠点がある

「中医学でひとつ問題なのは優秀な後継者がいないということ。中医学は教科書や理論だけでは学べない。日々積み重ねていく膨大な経験を通じてしか会得できないような、体系化できない知識なんだ。今の若い人はそれだけの時間をかけて学びたがらないからね」

「中医学を信じていないわけではないのだが、多くの庶民がふだん接する中医の医師たちの中には、営利ばかりに気をとられて信用やモラルに触れるような医療に従事している者も少なくない。西洋医学が病の根本を治すものではなかったとしても、そちらに頼らざるを得ないような、そんな現状があることは否めない。治れば医者の功労、治らなければ患者の心がけの問題でかたずけてしまうのが中医の現状だ」(翻訳・編集/愛玉)

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