難民問題の解決へ、日本を含む豊かな国は責任負う=ドイツの「難民80万人受け入れ」は、歴史的な責務―駐日独大使

八牧浩行    2015年9月20日(日) 8時0分

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ドイツのフォンウェアテルン駐日大使(写真中央)は、シリアなどから押し寄せる難民問題について、「ドイツは歴史的な責務を感じており、全人口の1%に相当する80万人の難民を受け入れる」と言明。難民問題の解決は日本を含めた豊かな国の責任である、と問題提起した。

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2015年9月18日、ドイツのフォンウェアテルン駐日大使は、日本記者クラブで記者会見し、シリアなどから押し寄せる難民問題について、「ドイツは歴史的な責務を感じており、全人口の1%に相当する80万人の難民を受け入れる」と言明。人材確保が目的ではないことを強調した。

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戦後70年、ドイツは歴史的な責務を感じており、現在の難民問題に対し何らかの支援をしたいと考えている。ドイツは全人口8000万人の1%に相当する80万人の難民を受け入れる方針だ。人道的な責任からである。難民として認められれば、住居や食料などの支援のほか、学校教育、就職などの機会を与える。

難民には学歴が高く、職業訓練を受けた人が多い。多様な文化的背景を持つ人が来れば多くのことを学べ、ドイツにとっても利点になる。しかし人材確保のためではなく、人材不足と難民とは別問題だ。

欧州連合(EU)各国の難民受け入れは、一国単独での解決は不可能であり、負担は東欧諸国を含め公平でなければならない。州に流入する難民問題を協議するため、9月23日に首脳会議を開かれる。メルケル首相らが要求したもので、各国が難民の割り当て人数を決めて受け入れる案が協議される。この問題は難民出身国への支援などを通じて、難民の発生を抑えることが重要だ。

日本は、多額の国連分担金を負担するなど人道支援で大きな貢献をしている。東アジアに今後、北朝鮮や地球温暖化で海面上昇に見舞われた国から難民が流入することになった場合に備え、日本がドイツの難民への対応について関心を持っているのは理解できる。難民問題の解決は日本を含めた豊かな国の責任である。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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