滅びゆく中国少数民族「ユグル族」を初めて映像化=映画「僕たちの家に帰ろう」の見どころ・日本公開への期待を監督が語る

Record China    2015年8月27日(木) 17時40分

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26日、少数民族「ユグル族」の幼い兄弟を描いた映画「僕たちの家に帰ろう」が今月29日より日本で劇場公開される。

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2015年8月26日、少数民族「ユグル族」の幼い兄弟を描いた映画「僕たちの家に帰ろう」が今月29日より日本で劇場公開される。

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「僕たちの家に帰ろう」は、中国の北西部に住む、現在わずか1万4000人の少数民族「ユグル族」が題材。ユグル族の幼い兄弟が離ればなれに暮らす両親のもとへ帰る道中、様々な出会いと別れを経験し成長していく姿を、雄大な自然を背景に優しい眼差しで描いた人間ドラマ。2014年の第27回東京国際映画祭コンペティション部門には「遥かなる家」のタイトルで上映。20世紀という時代の波にのまれ、言語や信仰、歴史、文化が急速に失われていく民族をどうにかして守りたいという監督の思いから作られた。公開を前に、監督のリー・ルイジュン氏が来日し、インタビュー取材に答えた。

―この映画を撮ったきっかけは?

この映画に出てくる「ユグル族」は、かつてこの地に強大な文明を誇った王国を築いていましたが、今では1万4000人しかいないのです。私が生まれ育ったところは「ユグル族」が住む場所の近くで、「ユグル族」は非常に身近で馴染みのある民族です。しかし、今では彼らのことは、歴史資料や博物館の石碑などを通してしか知る機会がありません。非常に惜しいことです。ぜひこの民族ついて知ってほしいと思うと同時に、彼らの文化をなんとかして守りたい、と思ったのがきっかけです。

―実際のユグル族の方が出演していますが、どのように演じていたのですか?

この映画はシルクロードでロケをして、実際そこに住んでいる子供たちに出演してもらい、1カ月あまり一緒に生活をしながら撮影をしました。兄弟役の兄は実際にユグル族の子供ですが、彼らは「ユグル族」の言葉を話すことは出来ません。「ユグル族」の70〜80代の高齢者は、ユグル語しか話せない人も多いのですが、10代になると100人のうち3〜5人くらいしかユグル語を話せないし、大人ですら話せなくなっています。「ユグル族」の90%が自分たちの言葉を話せず、また文字も消失しています。兄弟役の子供たちには、まず台本をお年寄りに発音してもらって、それを聞かせて覚えさせるということをしました。

もう1つの重要なキャラクターであるラクダも、2カ月間演技の訓練をしましたが、ラクダより子供たちの準備のほうが大変でしたね(笑)。映画の中では、「ユグル族」の文化や言葉、習俗を忠実に再現するように心がけました。お葬式のシーンの衣装は、「ユグル族」の服飾研究家に借りて、細かい習俗にもきっちり合わせました。

―日本公開に向けて、どのようなことを期待しますか?

映画の中で幼い兄弟が自分たちの家・文化を求めて500キロもの旅をしますが、撮影した場所はシルクロードの一部、中国北西部の甘粛省で私が生まれ育った場所でもあります。その道中に出てくる古い街では、4年前には水深2メートルの湖があったのに今では干上がっている場所が出てきます。また劇中と同様に、砂漠化が進み、人が住まなくなってしまった土地のお寺も徐々に廃れていっています。すべては水源が無くなってしまったからです。

「ユグル族」の文化や伝統を伝える映像が世に残るのは、この映画が初めてです。今年の10月には、中国で20カ所以上の劇場で公開も決まりました。この映画にも出てくる少数民族や環境問題については、実際に経験しないと自分たちのこととして認識することが出来ません。中国では、今ようやくこの問題について意識するようになったと私は感じています。ぜひ多くの人にこの映画を見てもらって、現実を認識し、考える良いきっかけになってほしいと思います。(編集/内山

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