中国は「中所得国の罠」の危機を迎えるか?―中国メディア

Record China    2015年6月16日(火) 7時31分

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11日、中国は2030年には高所得国の仲間入りをするだろう。資料写真。

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2015年6月11日、中国は2030年には高所得国の仲間入りをするだろう。今後16年間の経済は名目成長率が3.5%以下、実質成長率が2.7%以下にとどまるとの声があるが、これは実に根拠のない戯言だろう。(文:何偉文[ホー・ウェイウェン]中国とグローバル化のシンクタンク特別招聘シニア研究員。「新京報」掲載)

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最近、中国が中所得国の罠に陥るのではないかとの議論や懸念が改めて起きている。中所得国の罠とは、世界銀行が2007年に発表した報告書「東アジアのルネッサンス」によるもので、主に一連の国・地域が発展して国民の平均所得が3000ドル(約36万8000円)に達すると、人件費が上昇し、技術には新たな進展がなく、先進国のような技術的強みもなく、低所得国のような人件費のメリットもないため、結果的に長期にわたり平均所得1万ドル(約122万8000円)の高所得水準に到達できない状態が続くという意味だ。中国はすでに中所得国であり、人件費の強みが徐々に失われ、技術はまだ低レベル・中レベルにとどまっているため、これから中所得国の罠に陥ることが懸念されるというのだ。

世銀の報告が発表されてから12年までの6年間に、世界では16のエコノミーが中所得国の段階を飛び越えて、高所得国の仲間入りを果たした。世銀は13年9月に新たな報告書「中所得国の罠」を発表し、中所得レベルのエコノミーが高所得のエコノミーに発展するには長い時間が必要であること、中所得から高所得に至る過程は一つの発展段階であり、罠とはみなさないことを論証した。世銀の公式サイトでは現在、07年の報告書は見ることができない。

13年の報告書は各エコノミーの国民総所得(GNI)を4段階に分け、平均所得1005ドル(約12万3000円)以下を低所得国、1006〜3975ドル(約12万4000円〜48万8000円)を低中所得国、3976〜1万2275ドル(約48万9000円〜150万8000円)を高中所得国、1万2276ドル(約150万8000円)以上を高所得国とした。つまり、中所得国とは平均所得が3976ドル以上で1万2275ドル以下の国であり、3000ドルあれば中所得国に入れるが、1万ドルあっても高所得国にはなれないということだ。

高中所得国の入口3976ドルと高所得国の入口1万2276ドルとでは、2倍以上の開きがある。人口の伸びを計算すると、GNIは2.3倍から2.4倍増加しなければならない。名目成長率が8%に達すれば高所得国になるのに16年かかり、7%なら18年かかる。7%も8%もペースとしては速く、中所得国の段階を走り抜けるのに10数年というのは、ごく正常なことだ。

世界銀行の基準に従えば、中国が高中所得国になったのは10年で、この年の平均所得は4240ドル(約52万2000円)だった。14年は7324ドル(約90万1000円)で、4年間で72.7%増加し、年増加率は14.6%になる。新常態(ニューノーマル)の下での経済成長の鈍化や人民元が米ドルに対し全体として再び上昇する見込みがないことなどから、今後の年平均名目成長率はおよそ7〜8%の間にとどまるとみられる。人口が実質で年0.4%増加することを考えると、1万2276ドルに達するには、14年に比べ72.6%の増加が必要だ。14年の名目国内総生産(GDP)の増加率は8.2%だった(GNIとGDPの伸びは基本的に同ペース)。15年以降の増加率を7.0%(実質6.2%)とすると、8年がかかることになる。よって中国が高所得国になるのは22年のことで12年の時間がかかり、これは正常な水準だ。

ある国が20年以上、さらには30年経っても高中所得国の段階にとどまり、高所得国の入口に到達しないとすれば、それは中所得国の罠に陥ったといえる。だが中国は2030年には高所得国の仲間入りをする見込みだ。今後16年間の経済の名目成長率は最高でも3.5%止まり、実質成長率は2.7%止まりという見方は、根拠のない戯言だろう。(提供/人民網日本語版・翻訳/KS・編集/武藤)

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