<中国は今!>李克強首相に健康不安説、北京市民はPM2.5よりも高い関心―中国のリスク要因に?

Record China    2015年4月11日(土) 14時34分

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このところ、ネット上で、中国の李克強首相の健康不安説が出ている。私も3月上旬に全国人民代表大会の取材で北京に行ってきたが、その際、李氏の健康不安説をいろいろなところで聞いた。写真はCCTVで報道された全人代の李克強首相(筆者撮影)。

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このところ、ネット上で、中国の李克強(リー・カーチアン)首相の健康不安説が出ている。わたしも3月上旬に全国人民代表大会(全人代)の取材で北京に行ってきたが、その際、李氏の健康不安説をいろいろなところで聞いた。

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相変わらずの微小粒子状物質(PM2.5)で大気汚染がひどいので、ある中国人ジャーナリストに「いまだに大気汚染がひどいですね。市民は怒っているのではないですか」と尋ねると、このジャーナリストは「大気汚染も深刻ですが、それ以上に北京の人々が大きな関心を抱いているのは李克強首相の健康問題だ」と意外なことを語っていた。

このジャーナリスト氏によると、2月上旬に訪中したアルゼンチン首相らと会談した李氏の表情が優れず、目の回りが黒ずんでくぼみ、明らかに頬がこけて、げっそりと痩せていたという。このため、北京の知識人を中心に李氏の健康を心配する声が相次いだことから、北京の外交団の間からも李氏の健康不安説が囁かれていた。

北京の小道消息(口コミ)では、李氏は年末年始の休暇中に中国人民解放軍の病院に検査入院し、休養に努めたとの情報も出ているという。李氏は腎臓と肝臓が悪く、日ごろから酒を一切口にしないことは有名だというのだが、この会談での李氏の憔悴ぶりから、「一時は辞任説も出たほどだ」というから深刻だ。

実は、李克強氏の健康不安説は、香港では有名だ。米国に拠点を置く中国情報専門の華字ニュースサイト「博訊(ボシュン)」は昨年秋、李首相の辞任説を流しており、今回のうわさに拍車をかけているし、すでに「首相辞任を迫られる李克強」(博訊出版社刊)という本まで出版されている。それによると、李氏は文革時代の農村部への下放で、B型肝炎を患い肝機能が低下し腎臓病も併発したという。その後、ずっと肝臓や腎臓の機能低下に悩まされているというのだ。

こういう情報もあったので、全人代初日冒頭に政府活動報告を行う李氏の表情に注目してみた。テレビの生中継でみたのだが、やはり顔色は心なしか、全体にどす黒く、目も落ちくぼんでいるようにみえる。李氏はちょっとグレーっぽい色つきの眼鏡をかけているので、なお一層、目の回りが黒ずんで見えるのかもしれない。

あるいは、目のまわりの黒ずみをカモフラージュするために、そのような眼鏡をかけているということも考えられよう。

とはいえ、さえない表情の割には、声には張りがあり元気そうで、1時間40分にわたって、大声を張り上げていただけに、私自身は「それほど心配はない」と安心したというのが本音だった。

だが、ある中国経済の専門家はネット上で、李氏の「目の下のくま」を挙げて、「李克強首相の健康状態が近い将来、中国のリスクになるかもしれない」とも指摘しており、専門家の間でも李氏の健康不安説が拡大しているようだ。

もし、李氏が倒れるようなことがあれば、中国全体に与える影響は計り知れないだけに、健康不安説が杞憂であることを祈らざるを得ない。

◆筆者プロフィール:相馬勝

1956年、青森県生まれ。東京外国語大学中国学科卒業。産経新聞外信部記者、次長、香港支局長、米ジョージワシントン大学東アジア研究所でフルブライト研究員、米ハーバード大学でニーマン特別ジャーナリズム研究員を経て、2010年6月末で産経新聞社を退社し現在ジャーナリスト。

著書は「中国共産党に消された人々」(小学館刊=小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作品)、「中国軍300万人次の戦争」(講談社)、「ハーバード大学で日本はこう教えられている」(新潮社刊)など多数。

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