AIIB不参加の日本はインフラ輸出が不利に?日本国内でも懸念―中国紙

Record China    2015年4月9日(木) 15時1分

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9日、中国が設立を呼びかけたアジアインフラ投資銀行(AIIB)が日本でも広く注目を集めている。一部の日本企業は、日本がAIIBに参加しなければ、今後のアジアへのインフラ輸出で不利な立場に立たされるのではと懸念している。資料写真。

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2015年4月9日、中国が設立を呼びかけたアジアインフラ投資銀行(AIIB)が、日本でも広く注目を集めている。一部の日本企業は、日本がAIIBに参加しなければ、今後のアジアへのインフラ輸出で不利な立場に立たされるのではと懸念している。北京日報が伝えた。

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▼今後のインフラ輸出に懸念

金融危機と福島原発事故の発生以来、日本経済は低迷を続けている。経済回復はここ数年間、日本政府にとって最大の任務となっている。第2次安倍内閣は発足後、経済の再生を内閣の最優先課題と位置づけ、一連の急進的な財政政策と金融政策を通じて民間投資と消費を刺激してきた。

うち、公共インフラ支出増加の面では、日本国内のインフラが長年の開発の末、ほぼ飽和状態であるため、関連企業はインフラがまだ未整備のアジアの他地域に目を向けざるを得なくなっている。日本メディアによると、日本政府はインフラ輸出を経済成長戦略の中核に位置づけ、海外受注額を2010年の約10兆円から、2020年には30兆円に引き上げる目標を掲げている。

しかし、この目標を達成するのはそう簡単ではない。コスト面で優位に立つ中国企業の登場により、日本企業がアジアでインフラプロジェクトを受注するのはますます難しくなった。AIIBというアジアのインフラ市場で今後重要な影響力を持つであろう新体制に日本が参加しなければ、日本企業が今後大きなプレッシャーに直面することは予想できる。こうした懸念から、経済同友会の長谷川閑史代表幹事はこのほど行われた記者会見で、日本政府がAIIBへの参加表明を見送ったことについて「(日本企業の)インフラビジネスが、不利になるようなことだけはないようにしてほしい」と発言した。

▼AIIB、織運営や融資審査基準のバランスが必要

日本がAIIBへの参加を見送った理由として、麻生太郎財務相は「AIIBの組織運営や融資審査基準が不透明であるため」としている。

みずほ総合研究所の伊藤信悟・中国室長は取材に対し、「いわゆる組織運営とは、実際にはAIIB内部における発言権の問題を指す。発表されている情報によれば、アジア以外の国の議決権の合計は約25-30%、アジア諸国の議決権の合計は70-75%を占める。中国が巨額のGDPを背景に、主導的地位を占めることは間違いない。中国の議決権が大きくなればなるほど、AIIBで主導的な役割を果たすことになる。一方で、その他の国は発言権が小さくなり、AIIBへの関与の積極性も下がる。ゆえに、議決権をいかに合理的に振り分けるかが、AIIB創設に際して解決すべき第一の問題となる」と述べた。

次に、融資の審査基準の問題がある。アジア開発銀行(ADB)の推計によると、今後アジアが潜在的成長力を発揮するためには、2010年から2020年の11年間に、域内インフラ整備のために約8兆ドル(962兆円)が必要とされているが、ADBは毎年100億ドル(約1兆2000億円)程度の貸付しか行っていない。貸付額が制限される主な要素としては、資金不足のほかに、ADBの融資審査基準が厳しすぎることも挙げられる。AIIBはよりフレキシブルな融資審査制度を採用すると見られているが、それでもしかるべき基準は確保するべきだ。もし投資先国の戦乱やその他の原因で投資が回収できなくなれば、AIIBおよび関連国に損失が及ぶ。リスクと効率の間でいかにバランスをとるか、AIIB創設メンバーの知恵が試されるところだ。

▼AIIBは「アジアの夢」を後押し

伊藤氏はまた、「中国経済は今や新常態に入った。今後、中国のインフラ産業の国内市場における収益の余地は、昔ほどではなくなってくる。一方、アジアのその他の地域には大きなインフラニーズがあることから、中国のインフラ企業は海外進出の歩みを加速するだろう。AIIBは、生まれるべくして生まれたと言える」と指摘、さらに「習近平(シー・ジンピン)国家主席は昨年、アジアで長期的平和、共同発展という『アジアの夢』を実現することを提起した。『1ベルト、1ロード(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)』戦略とAIIBはまさに、このアジアの夢を実現するための具体的な一歩だ。ゆえに、中国のAIIBにかける意気込みは相当なものであり、経済計画、インフラ建設、投融資などの方面からアジアの地域経済に活力を注入することになるだろう」と続けた。

AIIBとADBの業務内容が一部重複することから、受注競争が招かれるのではないかとの声が上がっていることに対して、伊藤氏は「2つの金融機構にはそれぞれ特色があり、多くの分野で協力が期待できる。また、日中両国は東南アジア地域でそれぞれインフラプロジェクトを持っており、競争と同時に協力も存在している。もし日本の技術面のメリットと中国のコスト面のメリットが組み合わされば、相互補完が可能になり、アジアのインフラ市場を共に開発し、共にアジアに繁栄をもたらすことができる」との見方を示した。(提供/人民網日本語版・翻訳/SN・編集/武藤)

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