韓国の中国依存は高まるばかり、経済的な結びつき日本の2倍超に=安倍首相の「価値観外交」通用せず―「対北朝鮮」はどうなる?

八牧浩行    2015年2月14日(土) 6時4分

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中国経済の拡大に伴い、韓国の中国依存度が急速に高まり、韓国が日本より中国との関係を重視する傾向が一段と強まっている。安倍政権の価値観外交は韓国には通用しないようだ。写真は韓国・仁川の中華街。

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中国経済の拡大に伴い、韓国の中国依存度が急速に高まり、韓国が日本より中国との関係を重視する傾向が一段と強まっている。安倍政権の価値観外交は韓国には通用しないようだ。

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韓国の朴槿恵政権は米中両国との連携を軸とした国際関係を構想しており、その前提として「米中関係は協調関係にある」との認識に立っている。この結果、日韓関係の重要性が低下しており、韓国は経済はもちろん安全保障面でも日本より中国に急接近。日本側の歴史認識問題をめぐる姿勢が韓国政府・国民の強い反発を招いていることもあって、「中国と連携して日本に圧力をかける」状況が続いている。

日本には、かつての先進国と途上国の間柄だった日韓関係の古い固定観念から脱却できずに「韓国にとって日本は重要なはずだ」との誤った思い込みがなお根強い。日本が上で韓国を下に見る「垂直的な時代」につくられた「日韓秩序」に対する反発も韓国内にはくすぶる。韓国では、「日本は理解不能」「関係改善のために努力しても無駄」という雰囲気になっている。

韓国貿易に占める国別シェアは中国が日本、米国を10年ほど前に追い抜き、今では2倍以上の規模に拡大、なお増え続けている。観光や流通に携わる人たちの中国依存も高まるばかりだ。13年の日本と韓国の1人当たりのGDP(購買力平価方式)では、3万ドル(約360万円)前後で肉薄している。韓国の日本離れと対中接近にはこのような経済的な要因が大きい。

韓国と中国は朴大統領と習近平国家主席の新体制が同じ時期に発足、これを契機に2年以上にわたり、多様な戦略対話チャネルが深化・拡充されている。これによって朝鮮半島問題など政治・安保分野における中韓協力関係が急速に拡大。中韓両国民の連帯と信頼を増進するため、文化交流、地域レベル交流、両国間貿易の年間3000億ドル目標の早期達成などを通じた戦略的な協力パートナー関係を推進している。

韓国の対中急接近の背景には、最大の貿易相手国かつ世界一の消費市場である中国についた方が得とのリアリズムがある。同じ自由主義陣営の国を重視するという安倍政権の「価値観外交」は通用せず、このままではかつてのような日韓関係は戻ってこないだろう。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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