予想を上回る預金準備率引き下げ、元安を後押し?―中国

Record China    2015年2月6日(金) 21時30分

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6日、中国中央テレビによると、中国人民銀行(中央銀行)は4日、金融機関の人民元建て預金準備率を5日から0.5%引き下げることを明らかにした。写真は人民元。

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2015年2月6日、中国中央テレビ(CCTV)によると、中国人民銀行(中央銀行)は4日、金融機関の人民元建て預金準備率を5日から0.5%引き下げることを明らかにした。一部の金融機関を対象とした準備率の引き下げも行い、中国農業発展銀行に対する単独の引き下げも行う。

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▽準備率引き下げは経済の安定成長が狙い

専門家は、「人民銀が今のタイミングに預金準備率を引き下げるのは、現在の経済運営が強い下振れ圧力に直面し、安定的成長しか選択肢がないことを反映している。準備率引き下げによって流動性を開放することは、経済の安定的成長にとってプラスになる」と分析する。

専門家によると、今回は一律に準備率を0.5%引き下げることで5000億元(約9兆4000億円)の流動性が開放され、これにターゲットを絞った引き下げで中小金融機関と農業発展銀行の流動性約1000億元(約1兆9000億円)を開放するため、今回の引き下げにより金融機関が貸出に回せる資金が6000億元(約11兆3000億円)増えることになる。

中国銀行国際金融研究所の宗良(ゾン・リョン)副所長は、「日本、カナダ、ユーロ圏、オーストラリアで相次いで利下げや量的緩和措置が取られたことを背景に、中国が適切かつ柔軟な対応策を採るのは、合理的な調整だといえる。年末から年初にかけての準備率引き下げを選択したことは、市場に対し、2015年は全体として資金をめぐる局面は緩やかなものになるというシグナルを発したことに他ならない。企業の資金調達コストは引き続き低下して、企業や個人の投資と消費を奨励することになるとみられる」と話す。

興業銀行の魯政委(ルー・ジョンウェイ)チーフエコノミストは、「中国が公式に発表した2月の製造業購買担当者指数(PMI)が50ポイントを下回ったことが、準備率引き下げを直接促した。人民銀は政策を通じて企業の資金調達問題を緩和し、経済の安定的成長を促進したい考えだ」と話す。

▽人民銀の準備率引き下げペースは市場の予想以上

預金準備率の全面的な引き下げは、12年5月以来約3年ぶりのことだ。全面的引き下げとターゲットを絞った引き下げが同時に行われるのは、ここ数年で初めてのことでもある。

清華大学経営学院の李稲葵(リー・ダオクイ)教授は、「人民銀の今回の準備率引き下げの規模は予想されていたよりも大きく、時期も早い。その主な原因は、最近の国内での実質貸出金利が上昇を続けていること、全体的な資金不足、PMIなどの重要な経済指標の軒並み低下などだ。今回の引き下げは予想されたことで、経済に目立った問題が生じる前に行われた先見的で予防的な措置だといえる」と述べた。

▽全面的準備率引き下げは金融政策の方向転換ではない

3年ぶりに準備率を全面的に引き下げたことは、これまでの安定的な金融政策が方向転換することを意味するのだろうか。専門家の間では、「このたびの準備率引き下げ幅は小さく、金融政策の方向性の転換とみなすことはできない」との見方が一般的だ。

人民銀も、「引き続き安定的な金融政策を実施し、緩和と引き締めのリズムを適切に保ち、資金貸出と社会的融資の規模が安定的かつ適切に拡大するよう誘導する」としている。

▽準備率引き下げは、人民元の持続的な値下げを推進するか?

宗副所長は、「人民元の方向性は全体としては値上がりで、一時的には値下げの道を歩む。将来的には人民元はさらに国際化して、全体では小幅に値上がりし、安定を保つとみられる。今年の値下げ幅は最大でも2%にとどまる」と予測する。

魯チーフエコノミストは、「15年の米ドルの上昇幅が5%を超える見込みであることを考えると、元の対ドル値下げ幅がドルの上昇幅を超えることができなければ、元の実質有効レートはさらに上昇する危険がある。そうなれば国内の経済的な困難を緩和させる力が限定的なものとなる」との見方を示す。

▽A株は再び値上がりする、春節市場に対応

中国交通銀行の洪●(●=さんずいに[景頁]、ホン・ハオ)董事総経理(取締役社長)兼チーフストラテジストは、「予想に先立って準備率を引き下げて5000億元の誘導性を開放し、人民銀は利下げや準備率引き下げの予想を誘導した。今回の準備率引き下げは春節(旧正月、今年は2月19日)の流動性需要に対するリスクヘッジであり、金融市場からみれば、海外での株価先物指数は5ポイント上昇したが、時間的に前倒ししたことで、株式、債券、大口商品などを推進する作用を果たすことになる」と分析する。(提供/人民網日本語版・翻訳/KS・編集/武藤)



   

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