シベリウス生誕150周年、「人間と芸術を一体化」「自然との距離感が日本人に合う」=日本でも記念演奏会―フィンランド人指揮者らが魅力を語る

八牧浩行    2015年2月1日(日) 14時9分

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2015年はフィンランドを代表する作曲家ジャン・シベリウスの生誕150周年の記念イヤー。日本記者クラブで、フィンランド放送交響楽団首席指揮者のリントゥ氏(写真中央右)と日本シベリウス協会会長の指揮者・新田ユリ氏(同左)がシベリウスの魅力について語った。

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2015年はフィンランドを代表する作曲家ジャン・シベリウス(1865〜1957)の生誕150周年の記念イヤー。このほど日本記者クラブで、フィンランド放送交響楽団首席指揮者のハンヌ・リントゥ氏と日本シベリウス協会会長で愛知室内オーケストラ常任指揮者の新田ユリ氏がシベリウスの魅力について語った。

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フィンランドを代表する指揮者のリントゥ氏は「国家主義的オーラや取るに足らない神話で語られることの多い、シベリウスの音楽をもっと自然に捉える時が到来した」と述べ、記念イヤーでの各種演奏会やイベントによってシベリウス音楽が再認識され新たな解釈が生まれることに期待した。シベリウスの音楽が、北欧の単なる自然描写ではなく「自然も人間も芸術家も一体化したもの」とも指摘。「シベリウスはフィンランドにおける指揮者のパイオニアでもある」と深い敬意を示した。

新田ユリ氏は日本人とシベリウスの音楽との親和性を強調。「自然との距離の感覚が(日本人の感性に)合う」「同じフレーズが2度出てこない一筆書きのような音楽」などと述べた。

小澤征爾らを育てた巨匠・渡邉曉雄は日本フィルハーモニー管弦楽団の創立指揮者だが、母親がフィンランド人だったこともあってシベリウスの日本への紹介に尽力。同楽団の第1回定期演奏会(1957年)で演奏能されたのは、当時人気のベートーベンやモーツアルトではなくシベリウス「交響曲第2番」だった。渡辺暁雄指揮の日本フィルハーモニー交響楽団が1962年に世界初のステレオ録音で「交響曲全集」を出した。民族的抒情が香る交響詩「フィンランディア」も日本でも親しまれている。

代表作「ヴァイオリン協奏曲」は北欧の清涼な寂寥感を表現した傑作。弦の繊細な音色はフィンランドに咲く可憐な花々を揺らすそよ風のように心地よい。第1楽章冒頭は、シベリウス自身が「極寒の澄み切った北の空を、悠然と滑空する鷲のように」と指示した通り、ホールに響きわたり感動的だ。

これらの曲は生誕150年の今年、世界中でシベリウスにちなんだコンサートやイベントが開催され、CD録音や出版物もリリースされる。日本でも各地で多くの演奏会が開催される。記者会見した新田氏は3月にアイノラ交響楽団、リントォ氏は10月に新日本フィルハーモニー交響楽団、11月にフィンランド放送交響楽団を率い、東京などで指揮する。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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