<「イスラム国」人質事件>駐日スウェーデン大使、「解決の糸口はある」「テロリストは守勢ゆえに攻撃に転じた」―記者会見で明かす

八牧浩行    2015年1月23日(金) 5時29分

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22日、ローバック駐日スウェーデン駐日大使は記者会見し、イスラムの過激主義はイデオロギー的な要素は極めて限定的で、排他主義、中東地域の混乱など宗教以外の要素が大きい。テロリストは少数派であり、守勢から攻撃に転じ、ネットワークがつくられている」と述べた。

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2015年1月22日、ローバック駐日スウェーデン駐日大使は日本記者クラブで記者会見し、イスラムの過激主義はイデオロギー的な要素は極めて限定的で、排他主義、中東地域の混乱など宗教以外の要素が大きい。テロリストは少数派であり、守勢ゆえにから攻撃に転じ、ネットワークがつくられている」と述べた。その上で、イスラム国による日本人人質事件について、「イスラム国はとらえどころのない組織だが、(解決の)糸口はあると思う」と言明した。発言要旨は次の通り。

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スウェーデンの富や経済成長は移民をベースに成り立っている。私の先祖も国外から移住してきた。ただ移民の送り出し国が(中東など)遠くにあれば、困難な問題も起きる。今、前例がないほど急速に移民が増えており、年間6万〜7万人になる勢いだ。これによって多文化社会がどんどん豊かになり、もう後戻りできない。今後、鍵となるのは教育や労働へのアクセスの機会を与えられるかどうかである。また偏見をなくしていくことも重要な課題となる。

わが国には欧州でもユニークな労働移民制度という制度があり、成果を上げている。労働契約があれば簡略化された形で移民を受け入れるもので、日本の経済再興計画もこの制度が基本になっているのかもしれない。EU域内では自由に行き来できるようになっている。テロの脅威が出てきたが、この制度は守っていきたいと考えている。

反イスラム感情はフランスやドイツほど激しくはないが、スウェーデンでも残念ながら存在する。こうした問題の解決は簡単ではないが、宗派、宗教を超えて対話をしていかなければならない。イスラムの過激主義はニューヨークでの「9.11事件」以来顕著になっているが、イデオロギー的な要素は極めて限定的だ。排他主義や中東地域の混乱など宗教以外の要素が大きい。テロリストは少数派であり、守勢ゆえに攻撃に転じ、ネットワークがつくられている。

「イスラム国」による日本人人質事件は、日本政府もヨルダンなど関係諸国や組織にコンタクトして対応して解決してほしい。イスラム国はとらえどころのない組織だが、(解決の)糸口はあると思う。

(スウェーデンの主要自動車会社ボルボが中国企業に買収れたことについて)どの国でもナショナルチャンピンを守りたいと思うだろうが、今のグローバル化された世界で、防御するのは陳腐化された考え方だと思う。ボルボ車には今でも「メイド・バイ・スウェーデン」と記されている。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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