中国とは大きく異なる日本の大学入試事情、その驚きの実態とは?―香港紙

Record China    2015年1月23日(金) 4時27分

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21日、中国の大学統一入学試験(高考)にあたる日本の大学入試センター試験が今月17日、18日の2日間、全国690の会場で行われた。資料写真。

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2015年1月21日、中国の大学統一入学試験(高考)にあたる日本の大学入試センター試験が今月17日、18日の2日間、全国690の会場で行われた。中国の大学入試と同様、多くの日本人受験生も、将来堅実な人生を歩むため、この命運を分ける試験で良い成績を収め、有名大学に合格することを希望している。本年度のセンター試験の前日の夜、東京タワーは、受験生を応援するため、大学の合格発表に使われる「サクラサク」にかけて、桜色にライトアップされた。香港紙・文匯報が伝えた。

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■中国の旧暦に関する問題で出題ミス

日本の大学入試センター試験は、文系と理系が分かれておらず、初日の試験科目は地理歴史・公民、国語、外国語、2日目は数学、理科。現在の大学受験制度は90年代から始まってすでに20年以上がたっており、その制度は比較的成熟している。しかし、17日の午後に実施された地理歴史の「世界史B」で、出題ミスが見つかった。複数の選択肢から1つを選ぶ問題の中に、正しい答えが2つあった。本試験で正解にかかわる出題ミスは2008年以来。

出題ミスが見つかった問題は、日本の暦に深い影響を与えた中国の暦を作成した人物と時代の組み合わせを、4つの選択肢から1つ選ぶもの。原題は、「貞亭歴は、中国の[ア]の時代に、[イ]によって作られた授時歴を改訂して、日本の実情に合うようにしたものである」とあるが、解釈によっては、「中国の[ア]の時代に作られた貞亭歴は、[イ]によって授時歴に改訂された」という意味にも取れる。

出題のあいまいさから、選択肢の(2)「ア―元 イ―郭守敬」と(4)の「ア―清 イ―郭守敬」の両方が正解となる。というのも、この暦は中国で元の時代に作られたが、日本で改訂されたのは清代だとされているからだ。この出題ミスは、試験会場で受験生から指摘があり、判明した。大学入試センターは審議の結果、どちらを選択しても正解にすることにした。

■大学入試に対する社会各界の態度は平静

実のところ、「日本の大学入試」制度は決して一回のみで決まるわけではない。大部分の受験生は試験を2回受けなければならない。一つ目が、文部科学省独立行政法人大学入試センターが実施している、主に基礎的な学力を問われる大学入試センター試験だ。この入試センター試験の10日後に全国の受験生の得点結果が発表される。受験生は自分の成績をもとに、受験する大学や学部を決定し、その後に各大学が実施する入試を受ける。これには、筆記試験、実技試験、面接試験、小論文、外国語のリスニングなどが含まれ、2月中旬から3月下旬までの間に実施される。

一般的には、上記2回の入試結果の総合的な成績から、最終的に合否が決まる。しかし、一部の大学ではセンター試験の結果次第で2次試験が受けられるどうかが決まる。また、一部大学ではセンター試験の成績が直接的に合否を左右する。このほか、センター試験を受ける必要がなく、直接大学の入試を受けられる私立大学もある。

日中の状況を比較すると、中国の大学入試のほうが社会各界からより注目され、親たちも異常なほどナーバスになっている。日本社会は全体的に大学入試に対する態度は平静で、各入試会場でも親の姿を見ることはほとんどない。日本のメディアも報道はするが、そのほとんどが簡単にふれたものだ。

日本に子供が出世することを望む親がいないわけではない。しかし、ほとんどが子供の意思を尊重しており、子供にあまり大きなプレッシャーを与えないようにしている。大学に入学することだけが人生の唯一の道ではない。また、日本では、学生の成績は個人情報にあたるため、日本の大学入試では個人の成績やランキングは発表されない。さらに、センター試験のほかにも、受験生は申請した大学の筆記試験や面接試験を受けなければならない。つまり、センター試験の結果だけで必ず希望する大学に入学できるわけではない。大学は成績を重要な参考にすると同時に、受験生の性格や、興味、自己管理能力、社会的責任感などの要素も判断基準としている。メディアも高い得点を取った学生を大きく報道することはない。日本社会では、そういったことは若者の成長に悪い影響を与えると考えているからだ。

■大学に入るのは簡単だが、有名大学に入るのは非常に難しい

現在、日本の高等教育機関への進学率は76.2%に達し、日本国内の大学の数は700校以上、短期大学は500校以上、専門学校は約3000校に上っている。これらの機関の受け入れ可能な新入生の数は約130万人に上る。しかし、近年日本の18歳以下の人口は130万人前後であることから、日本で大学に入るのは難しくなく、いわゆる「大学全入時代」(日本の大学への入学希望者総数が入学定員総数を下回る状況)を迎えている。ただ、良い大学に入学するのは非常に難しい。

日本の社会は学歴を非常に重視する。学歴(特に有名大学の学歴)は直接就職や給料の良し悪しにまで影響を与える。

日本の私立大学の数は膨大(大学生総数の約80%)で、比較的容易に入学できるが、早稲田や慶応といった有名大学は、全体からみるとごくわずか。日本の最も良い名門大学はほとんどが国立であることや、国立や公立の大学の学費が比較的安いため、良い大学に入学したい場合の競争率は非常に高く、「試験地獄」と呼ばれる。

名門大学の競争率激化のため、毎年多くの不合格者が生まれている。日本では、大学入試の不合格者のことを「浪人」と呼ぶ。浪人は、仕事はせず、予備校などに通い、あるいは自習して、翌年の大学入試に向けて受験勉強を行う。自宅で受験勉強する人のことを「宅浪」、大学入試に1回失敗した人のことを「一浪」、2回失敗した人のことを「二浪」、3回以上失敗した人のことは「多浪」と呼ぶ。また、現在通っている大学に不満で、もう一度大学入試を受ける人のことを「仮面浪人」と呼ぶ。これら「浪人」が生み出す市場規模は9000億円に上り、予備校市場の主な顧客層となっている。(提供/人民網日本語版・翻訳/MZ・編集/武藤)

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