<驚くべきインバウンド後進国ニッポン(11)>旧運輸省部局は業界が限界集落化する前に手を打て!

Record China    2014年6月7日(土) 12時52分

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通訳案内士と他の士業では、決定的な違いがあります。派遣が許されているか否かです。写真は霞が関の官庁街(奥が国土交通省)。2枚目は日本が誇る海上トラス橋、本州四国連絡橋の夜景。

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通訳案内士と他の士業では、決定的な違いがあります。派遣が許されているか否かです。私も以前ある旅行ブローカーと口論をして「日雇い添乗員」と捨てぜりふを吐かれ頭にきたことがありました。弁護士や会計士は日雇いでなく、通訳案内士はなぜ日雇いできるのか、この意味には歴史があります。しかし日雇い派遣をやめれば、非常に多くの通訳案内士が路頭に迷うでしょう。そういう世界なのです。ある京都の偉いお坊様から「人間は生かされている」という法話を聞きましたが、通訳案内士はまさに生簀(いけす)のメジロ(関東ではワラサ、鰤の中型の呼び名)のように生簀で生かされているような気がしております。

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もう一つ奇妙に感じることは、所轄の役所に対する被害者意識や反感のようなものです。つまり観光庁に対して多くの通訳案内士は、われわれを守ってくれる役所であるとは思っておりません。それを証拠に観光庁からの依頼事項があると、どこの団体でも観光庁への批判や不満、悪口を言い続ける人がおり、観光庁と会員の間に入って事を進める時は必ず手間がかかります。根強い不信感があるのです。以前福祉事務所とケースワーカーの相互不信を取り上げたニュース番組がありましたが、この世界も同様なのです。

行政と民間とが対立していがみあった世界で成功はありません。私の以前の仕事が、旧建設省下部組織の独立法人の某研究所との共同開発商品を展開していたため、非常に敏感に感じたことですが、その事業に関しては役所と民間との意思疎通が非常にうまくいっておりました。国土交通省の旧建設省系列で建設会社と工事事務所の談合や汚職はあっても、運輸業界のような特殊な問題はほとんど聞いたことがありませんでした。反対に運輸省系列の運輸分野では、白バス白タクや運転手の老齢化、タクシー業界やバス業界の旧体質等暗い話が多すぎます。

現場がお上の横暴や低賃金等、構造的問題を批判することが常態化しております。通訳案内士業界も問題は同様と思われるので、役所と民間の風通しをもっと良くして、そろそろこの伝統的問題を解決すべき時にきているのではないでしょうか?省庁内でも活気のあるインバウンドの風が吹いているうちに、体質改善をすべきと思います。その実現がインバウンド業界の育成と成長につながると信じております。国土交通省の中でもこのことに気がついている方は多いと思われますが、どのような方法をもって改革していくのでしょうか?旧運輸省の管轄全般が業界限界集落化する前に手を打って頂きたく思います。

◆筆者プロフィール:水谷 浩(仁宣)

中国語通訳案内士会・副代表幹事。現役通訳案内士(中国語)の他、産業・医療通訳等各種通訳、講演と執筆、訪日外客コンサルとビジネスマッチング(日本と海外)を展開する。銀聯カード決済関連会社のサイトで、中国・中華市場向け中国語旅行ブログ“中日導游游日記”を長期連載している。

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