<驚くべきインバウンド後進国ニッポン(10)>士業の没落!通訳案内士残酷物語

Record China    2014年5月31日(土) 10時35分

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よく話題になるテーマが業種別年収です。士業と呼ばれる難関国家資格者の年収ですが、医師が平均1100万以上、弁護士、公認会計士や税理士が平均800万円程度と言われます。

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よく話題になるテーマが業種別年収です。士業と呼ばれる難関国家資格者の年収ですが、医師が平均1100万以上、弁護士、公認会計士や税理士が平均800万円程度と言われます。最近では弁護士の新人で年収300万台という方もいて、どこの世界も苦労は尽きません。

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では通訳案内士の年収はどの程度だと思われますか?通訳案内業に就業している人の62%が年収100万円未満なのです。年間稼働日数は約54.5%が30日以下しか働いておりません。通訳案内士の60%が中年の女性(主婦の小遣い稼ぎ程度)である等が強調されますが、これは5年前に行われた統計ですが、男1人が家族を養って食っていける職業にまでいまだ成長しておりません。確かに毎年250日から270日以上稼働して630-750万位(手取り)稼いでいるトップクラス(業界の1から2%)の複数の仲間の顔がよぎります。しかし、普通の通訳案内士は、男性の専業といえども、まだまだこれ一本では生活していけない職業なのです。ほとんどの通訳案内士は兼業をやらざるを得ない状況です。たまにある通訳ガイド、通訳、翻訳、講師等の高級アルバイトを含め、まるで江戸時代の長屋の浪人の生活のようになっておりますが、まさに現代の傘張りでしょう。

同職業種の貧困層の分析をするともっとかわいそうなのが添乗員です、年収は平均250万円ですが、年間稼働日が250日から300日働かねればなりません(日当額5000円-1万6000円)。ひどいときは1万6000円で16時間以上働きます、客のクレームひとつで派遣を絶たれ、この世界からターミネートされる事もしばしば。まさに女工哀史や蟹工船の世界を地で行っております。これは限界集落化した職業であり、中堅クラスの男性がある程度の給料を確保するために足を洗っていっております。いわばブラック企業ならぬブラック業界なのです。業界の体質改善には訪日旅程管理を行う主任の新設や待遇全体の抜本的改善が必須と思われます。

そもそも旅行業界自体相対的に年収が低く業界平均で平均300万円程度しかないのではないでしょうか?旅行貧乏3兄弟、このまま業界の改革をしなければ永久に「夜明け前」のままです。そうしているうちに、人材(この時点では有能とは限らない)がどんどん流出して、添乗業界ではないですが旅行業界の限界集落化を迎えます。業界に残ったのは「すれっからし」の旅行会社社員、添乗員、通訳ガイド、旅館の仲居さん、土産物屋のおばさん(なぜおじさんがいないとお叱りを受けそうですが…)、雲助のドライバーじゃ、一世を風靡(ふうび)した日本型旅行産業は完全に訪日と国内の顧客から見捨てられます。残るのは1から2%の支配階級化した業界上層部、高品質と高価格のVIP専用御用達を専門にするグループで下々は近づけません。グローバル社会のモデルパターンでいわれる1:99の近未来封建時代の支配構造が現実化します。

◆筆者プロフィール:水谷 浩(仁宣)

中国語通訳案内士会・副代表幹事。現役通訳案内士(中国語)の他、産業・医療通訳等各種通訳、講演と執筆、訪日外客コンサルとビジネスマッチング(日本と海外)を展開する。銀聯カード決済関連会社のサイトで、中国・中華市場向け中国語旅行ブログ“中日導游游日記”を長期連載している。

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