<遠藤誉が斬る>周永康の盗聴係り失脚――北京市国家安全局局長・梁克

Record China    2014年2月24日(月) 8時0分

拡大

21日、かつて周永康のために盗聴をしていた北京市国家安全局局長の梁克が失脚した。梁克は1月23日にすでに中共中央紀律検査委員会によって「汚職や周永康との関係」に関して取り調べを受けていた。写真は梁克。

(1 / 2 枚)

2014年2月21日、かつて周永康のために盗聴をしていた北京市国家安全局局長の梁克(42歳)が失脚した。

その他の写真

安全局とはスパイ活動などを管理する部局で、国家安全部という中央行政省庁の下に、全中国のすべてのレベルの行政地区に下部組織がある。梁克は北京市の安全局にいた。すでに後任が発表されている。同安全局中国共産党委員会副書記だった李東(48歳)だ。

2月21日に開催された北京市第14回人民代表会議常務委員会第9次会議で決議された。

梁克は、実は1月23日にすでに中共中央紀律検査委員会によって「汚職や周永康との関係」に関して取り調べを受けていた。

「周永康との関係」とは、ほかでもない ―― 盗聴だ。

筆者は薄熙来が重慶市書記だった時代(2007年〜2012年)、重慶市の公安局長を務めていた王立軍が中央の盗聴をしていたことを、拙著『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』で詳述した。そのとき、ひょっとしたら「手引き」をしていたのは周永康かも知れないと推測している。

その推測は当たっていたことになる。

周永康がチャイナ・ナイン(中共中央政治局常務委員9人)になったのは2007年。党内序列はナンバー9だが、中共中央政法委員会の書記として公安、検察、司法を主管するだけでなく、国家安全部に対しても力を及ぼしていた。

この絶大な力を利用して、2008年に梁克を北京市安全局長に抜擢。そのとき梁克は36歳の若さであった。

梁克はそれまで北京市国家安全局第六処副処長、北京市国家安全局海淀分局局長、北京市国家安全局局長補佐、同副局長などを務めていた。周永康がチャイナ・ナインになってからは、中国共産党北京市委員会の政法委員会副書記をも兼任するようになっていた。完全に周永康の駒として活躍していたわけだ。

◆周永康が放った刺客、「国家反逆罪」も

胡錦濤政権時代に薄熙来を失脚させるに当たって、唯一反対の意思を表明していたのは周永康だった。

江沢民―周永康―薄熙来と、その利害関係は連鎖し、利益集団という側面においてだけでなく、周永康が薄熙来を支持したのは、公安関係の「610弁公室」(法輪功弾圧)に関係するからである。

薄熙来は周永康が持つ「石油閥」でもなければ、前回のコラムで触れた「四川閥」でもない。「公安閥」とも少し違い、江沢民が始めた法輪功弾圧という接点で結ばれていただけである。「だけ」といっても、ここは江沢民の命取り。だから、江沢民を守るために、江沢民の指示により薄熙来を支持しようとした。

そのためスパイ活動を主管する国家安全部や北京市国家安全局に刺客を送り込み、チャイナ・ナインがどのような「打ち合わせ」をしているかをキャッチして、薄熙来や江沢民に情報を流していたものと思われる。

重慶でそれをキャッチしていたのは王立軍で、王立軍はそれを「取捨選択して」薄熙来に伝えていた。

薄熙来は昨年9月に無期懲役が決まっており、周永康も2012年11月に「定年退官」した。

しかし周永康としては、今後自分にどのような運命が待っているかを盗聴し、それによって手を打っていくことは死活問題だ。そのため退官後も、いや退官後だからこそなお一層、中央の動向に関する盗聴が必要だっただろう。

そのために梁克の「活躍」が不可欠だったが、習近平政権は、早くから梁克を泳がせながら監察していた。梁克の失脚は、それが限界に来たことを示すと同時に、周永康を裁く証拠が、この上なく濃厚になったことを示している。動かしがたい「国家反逆罪」が浮上してくるに違いない。

それでもなお、3月5日からの全人大期間を含め、「Xデー」は傍観を要する。

(<遠藤誉が斬る>第20回)

遠藤誉(えんどう・ほまれ)

筑波大学名誉教授、東京福祉大学国際交流センター長。1941年に中国で生まれ、53年、日本帰国。著書に『ネット大国中国―言論をめぐる攻防』『チャイナ・ナイン―中国を動かす9人の男たち』『チャイナ・ジャッジ毛沢東になれなかった男』『チャイナ・ギャップ―噛み合わない日中の歯車』、『●(上下を縦に重ねる)子(チャーズ)―中国建国の残火』『完全解読「中国外交戦略」の狙い』など多数。

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携