「短パンでもいい、耳の穴だけは守れ!」バングラデシュの不思議な防寒対策

Record China    2014年1月26日(日) 20時48分

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南アジアというと、1年の気候は「暑い」と「すごく暑い」しかないイメージがあるのではないか。だがそれは間違いだ。インドもバングラデシュも冬は結構寒い。写真はバングラデシュ。

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インドなど南アジアというと、1年の気候は「暑い」と「すごく暑い」しかないイメージがあるのではないか。だがそれは間違いだ。インドもバングラデシュも冬は結構寒い。バングラデシュの場合は12月末から1月半ばまで、ヒマラヤから湿った寒気が吹き込んでくるのだ。

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■ほっかむりで防寒対策、「耳の穴」を守れ

短期間とはいえ寒い冬をバングラデシュ人はどう乗りきるのか?彼らの防寒対策は「いろいろおかしい」。

まずオトナも子どもも皆がほっかむりをしている。みんなでどろぼうコントですか?と聞きたくなるくらいそこらじゅうでほっかむり。バングラデシュでは寒気は耳から入るとされている。「耳の穴」を守るのが何よりの防寒対策ということらしい。

他の部位はというと、これが日本人からみるとなんとも寒々しいファッション。それでも上半身は結構着こむのだが、下半身はルンギと呼ばれる腰巻の一枚布に素足にサンダル履きというのが王道。ちなみにルンギの下はノーパンである。

どうかんがえても足元が寒いだろというアンバランスぶりで、見ているこっちのほうが寒くなっている。

■バドミントンでホカホカになれ

もうひとつの防寒対策はバドミントン。冬になると道端で、空き地で、はたまたビルの屋上で、いたるところでバドミントンをやっている姿を見かける。しかも夜に、だ。手作りナイター設備の下でバドミントンを楽しみ、体を温めてから眠りに付くということらしい。

■夜にお風呂?!殺す気か!

日本だと寒い冬といえば、やはり夜にあったかいお風呂に入りたくなる。だが日本人は夜に入浴すると言うと、ベンガル人からは「は?バカヤロウ!?子どもが風邪引いて死んでしまうぞ!」と言われてしまう。

まあ、それもそのはず、彼らの常識ではおふろは朝、水浴びが基本だからだ。気温10度代の世界で水浴びするなんぞなんかのバツゲームですかと言いたいが、これも彼らの文化なのだ。

■せつない現実

さてここまでちょっと微笑ましい話を紹介してきたが、最後にせつない現実を。

バングラデシュの冬は、冷え込むと気温が10度を下回ることがある。そうなると凍死者が出る可能性が高くなる。0度を下回らない、つまり凍ってないのに凍死とはこれいかにと思われるかもしれないが、これまで説明してきたとおり防寒対策が全く出来ていないのが背景にある。

凍死してしまうのは主に路上生活者などの極貧者。いつもの季節であれば道端でゴロンとハダカに近い格好で転がっているのだが、それでどうということはない。冷えると新聞紙などの紙ごみを集めて焚き火をしてしのいだりするのだが、焚き火など燃え尽きてしまえばもう終わりで防寒対策としてはきわめて不十分だ。あとはビル風が吹き込まない場所で身を寄せ合って眠るだけ。日本の路上生活者のようにダンボールと新聞紙で仮設の家を作るような工夫が全く見られない。

また医療設備が十分でない地方で、子どもが風邪をこじらせて死亡する例もよく耳にする。昨年度末頃から来た寒波により、ロングプール地方で子どもが10人以上亡くなったという痛ましいニュースも聞こえてきている。

■冬の美しさ

冬になると、バングラデシュには毎朝霧が立ち込める。特に農村は幻想的な美しさである。2月半ばになると、マンゴーの花が咲く。これでバングラデシュの短い冬は終わり。春が始まる。3月にもなると、いつも通り、「すごく暑い」バングラデシュが戻ってくる。

◆執筆者プロフィール:田中秀喜

1975年生まれ。メーカー勤務、青年海外協力隊、JICA専門家を経てバングラデシュでコンサル業を起業。チャイナプラスワンとして注目されながら情報の少なさから敬遠されがちなバングラデシュの情報源となるべく奮闘中。

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