<日本人が見た中国>定年退職後の生活、人生観はこんなに違う

Record China    2014年1月25日(土) 0時20分

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定年退職後、体が元気なうちは働きたいと願う日本人は多いけれど、中国人は退職後は旅行など、自分の生活を楽しみたい人が圧倒的。それには両国の年金制度の違いが大きく原因しているけれど、それだけではない。

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中国にいる間、大好きな北京の老舗お菓子屋さん「稲香村」の従業員さん、セルフサービスの食堂で相席になった中国人、とにかく何かと話すきっかけを作って、中国人と話すことにしている。時には息子の嫁の悪口に1時間近くつきあったり、包み隠さず語ってくれるのでおもしろい。もうすぐ定年退職するという中国人としゃべっていると、日本人のその年代の人、少なくとも私の周辺の親たちとは全く違う考え方をしていることに気付いた。

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中国では男性の定年は60歳、女性は55歳。もう退職してしまったけれど、稲香村の女性従業員さんは定年前、私と会うたびに「ああ、早く退職したい。あと1年なのよ。本当に待ち遠しいわ」と言う。「退職したら、何するんですか?」、「特にないわ。家でのんびりよ」。「退屈じゃないですか?」、「全然。今までずっと働いてきたから、のんびりしたいのよ」。確かに稲香村は年中無休できつい仕事。55歳で体力も気力も十分あるのに、家にいるなんてもったいないと思ってしまう私は日本人としては普通だ。

上海の老舗食堂「鮮得来」で出会った女性も「定年退職が楽しみ。退職したら、旅行したい。中国は広いから、行きたいところがいっぱいあるの」と言う。日本人で定年が楽しみなんていう人に私は会ったことがない。実際、私の義父も定年後、警備会社に再就職し、しばらく正社員として働いた後、再び定年。その後、またアルバイトを始めた。この話を中国人にすると、みんな理解不能と言おうか、あきれた顔をする。これは中国と日本の年金制度の違いが大きく関係している。

中国では年金のことを退休金という。日本の年金事情を「日本では年金がもらえるのは65歳から。今は日本政府にお金がないから、私が年金をもらう時代には70歳からになっているかもね」と説明した。中国人は「日本は中国より何でも進んでいると思っていたけど、退休金は中国のほうがかなりいいわね。日本人は退職後、退休金がもらえるまで、どうやって暮らすの?中国はだいたい以前の給料と同じぐらいもらえるから、生活には困らない」と言う人が多い。私の友人のお母さんも裁判所を定年退職してから、毎月3000元(約5万2000円)以上の退休金をもらっている。持ち家ならば、無理せず暮らせる金額だ。中国の退休金はかなり金額が高く、しかも退職後すぐ、もらえるという。そのせいか日本人のように退職後まで働きたいなんて、中国人に私は会ったことがない。

日本人には体が元気な限りはできるだけ働きたいという人が多い。よく言えば、働き者、悪く言えば貧乏性というか切り替えがへたくそと言おうか。中国人は本当にこのあたりの切り替えがはっきり。年金があるのに退職後にまた、働くなんてとんでもない。とにかく自分の人生を楽しむという人が多い。日本人と中国人の定年後の暮らし方の違いはもちろん年金がもらえる時期が絡んでいるけれど、これだけではない。中国人は遊ぶと働くの切り替えが日本人よりはっきりしているのだ。

■筆者プロフィール:浜井幸子(はまい・さちこ)

1966年神戸市生まれ。19才の時、初めての海外旅行で行った中国の魅力にはまり、90年代の中国をバックパック旅行する。その後、中国やアジアの食を中心に書くライターとして活動中。著書に「中国おもしろ商人スクラップ」、「中国まんぷくスクラップ」など。

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