赤字額が8000億円に、日本の電子産業は何を間違ったのか?―中国メディア

Record China    2013年12月21日(土) 8時59分

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20日、日本の財務省が18日に発表した11月の貿易データによると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支が1兆2929億円の赤字を計上した。

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2013年12月20日、日本の財務省が今月18日に発表した11月の貿易データによると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支が1兆2929億円の赤字を計上した。赤字額は前年同期の9570億円を上回り、同期としては過去の最高額となった。国際金融報が伝えた。

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日本が1兆円以上の赤字を計上するのは、これで2カ月連続だ。この最大の原因は、かつて日本の輸出を強く支えた電子産業が、「後退」を開始したことだ。データによると、日本の電子製品は今年1−9月に約8000億円の貿易赤字を計上した。前年同期であれば、2200億円の貿易黒字を実現していた。

1970年代、「日本製」の電子製品は向かうところ敵なしだった。計算機、デジタルウォッチ、ラジオ、ビデオデッキ、ビデオカメラ、テレビ、パソコン、携帯型オーディオプレイヤー、カメラ、ゲーム機、携帯電話などの分野で、日本企業はかつて世界で高い市場シェアを占めていた。それでは、日本の電子産業の輸出不調の原因とは何だろうか?

◆海外拡張

電子情報技術産業協会と日本電機工業会の統計データによると、電子産業全体の貿易収支は、1990年代前半に9兆円の黒字を実現した。しかしこの盛況は、すでに過去のものとなった。かつて日本の電子産業をけん引したテレビは、今年1−9月に1100億円の貿易赤字を計上し、スマートフォンの同期の赤字額はそれ以上となった。

中国社会科学院日本問題研究所研究員の厖中鵬(パン・ジョンポン)氏は、「2008−2012年に円高が続き、電子産業が海外投資に転向した。これは円高回避の手段であるが、電子産業の貿易赤字を生んだ」と指摘した。

日本企業の工場海外移転などの行為は、貿易赤字拡大を常態化させた。2008年のリーマン・ショック以降、電子企業の生産方式は海外移転を始め、輸出額が大幅に減少した。

中国商務部(商務省)国際貿易経済協力研究院研究員の梅新育(メイ・シンユー)氏は、「中国や韓国などの後発国が電子・自動車産業で台頭し、日本との間に強い競争関係を形成した。特に中国本土の台頭は、日本のかつての製造業発展を10倍の規模で再現している。中国はまた巨大な国内市場の利益を手にしており、競争が熾烈になっている」と語った。

特に現在は日中の政治関係の悪化を受け、中国という世界2位の規模を持つ、成長著しい輸入国の市場において、日本完成品メーカーの地位が低下している。

◆革新力が低下

「日本の電子企業はすでに革新面での強みを失っており、競争力が低下している。これこそが、市場で輝きを放てなくなった重要な原因だ」という声もある。

日本の評論家は、「日本は1台のiPhoneに60%の部品を提供できるが、ウォークマンやCRTディスプレイなど、世界を風靡した革命的な製品と、圧倒的な技術を提供できなくなった」と自嘲したほどだ。

中国工程院院士の倪光南(ニー・グアンナン)氏も、「科学技術面から見ると、日本企業は基礎研究・応用基礎研究に対する投資が不足しており、その革新力は米国の同業者を大幅に下回る。日本は技術の安定的な発展段階において、技術と製品に徹底的にこだわり強い競争力を示せる。しかし技術激変の時代、斬新な技術・製品・サービスの発展が必要な場合、日本の反応は遅れ、流行をけん引できず、追随者になるしかない」と分析した。

厖氏は、「韓国、台湾、中国本土の電子産業チェーンの急速な台頭に伴い、日本電子産業がかつて誇ってきたコスト面の優勢はむしろ劣勢に変わっている。また日本の端末機器企業のサプライチェーンは非常に閉鎖的で、日本企業の電子部品を使用する習慣を持っている。日本は電子産業チェーンのハイエンド製造技術を握っているが、コストが下がっていない。電子産業市場の勝敗はコストによって左右される。日本の電子製品はコスト面の優位を持たないため、迅速にコスト対策に取り組めなければ、在庫が膨らむばかりで、最終的には売り出せなくなる」と語った。

◆日本電子産業の再起はあるか?

ソニー、パナソニック、シャープなどの電子製品大手の巨額の赤字問題が、近年取り沙汰されてきた。ソニーを例とすると、2008年度の赤字額は989億円で、2009年度は408億円、2010年度は2596億円、2011年度は4567億円に達した。

しかしソニーは2012年度に2301億円の営業利益と430億円の純利益を実現し、5年ぶりの黒字を実現した。ソニーの平井一夫社長兼CEOは今年11月12日、「当社は過去18カ月に渡り電子製品復興を主要任務としてきた。2013年は、ソニーの電子事業復興のターニングポイントだ」と語った。パナソニックも今年上半期に、純利益で大幅な増益を記録した。再建中のシャープが同日発表した2013年上半期業績報告によると、主事業の収益状況を示す営業利益が338億円に達し、1年ぶりに半期で黒字を実現した。

業界関係者はまた、「ソニーの収益の多くは、事業ではなく財務面の操作によるものだ」と指摘した。梅氏は、「日本の電子産業の衰退を叫ぶのは時期尚早だ。日本の電子産業の完成品の販売が低迷してるが、重要な中間製品で依然として強みを持つ。長期的に見ると、日本電子産業は重要な中間製品に集中し、中韓とより緊密な産業同盟を形成するべきだ。しかしこの最も理想的な未来が実現されるか否かに関しては、日本の対外政治関係に左右される」と分析した。

安倍首相の経済の「3本の矢」が続々と放たれており、日本の電子産業が再起のチャンスを得る可能性がある。カリフォルニア大学バークレー校のスティーヴン・K.ヴォーゲル氏は、「日本の電子産業に生じた問題とは」の中で、「日本政府はかつて、市場構造再構築の主導者としての役割を演じることが多かった。しかし政府側は改革ではなく、緩慢な調整を実施した。安倍首相が昨年の再任以降に放った『3本目の矢』(構造改革)は、日本経済の長期的な発展のカギとされており、電子産業にも利益をもたらす。政府は開発への支援を強化し、電子産業のインフラ整備を加速し、社会・政府・学校などへの電子製品のPRを力強く推進していく」と指摘した。(提供/人民網日本語版・翻訳/YF・編集/武藤)

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