TPP交渉の年内妥結は「無理!」―中国メディア

Record China    2013年8月31日(土) 21時40分

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30日、環太平洋経済連携協定の第19回交渉会合がブルネイで閉幕した。米国、日本、シンガポール、チリなど太平洋を囲む12カ国が参加した。写真は日本のTPP交渉参加に反対する日本の農業・林業・水産業・牧畜業の業界団体関係者。農協も反対を唱える。

2013年8月30日、人民日報は「TPP交渉の年内妥結は『無理!』」と題した記事を掲載した。

環太平洋経済連携協定の第19回交渉会合が30日、ブルネイの首都バンダルスリブガワンで閉幕した。米国、日本、シンガポール、チリなど太平洋を囲む12カ国が参加した。

TPP交渉は米国政府が「アジア回帰」するための戦略の中核であり、年内の交渉妥結を目標としている。日本は今年7月に正式に交渉に参加し、12番目の交渉参加国となった。日本の参加により、交渉参加国の経済規模がグローバル経済に占める割合は40%に達し、貿易額は世界の3分の1を占めるようになった。現在、技術や大きな問題がない14分野では交渉がまとまったが、一連の敏感な問題は解決されていない。

▽米日、交渉で互いに譲らず

今回は日本が全日程に参加した初めての交渉会合となり、進展が注目された。日米両国は交渉加速に「強い意欲」を表明したが、実際の交渉では互いに譲らず交渉は進まなかった。

米国は日本が自動車市場を開放することをかねてより希望しており、マイケル・フロマン通商代表は、「外国の自動車ブランドは日本市場でわずか6%のシェアしか持たないが、米国市場では外国自動車ブランドの市場シェアは40%に達する。日本は自動車市場の開放をより一層進めるべきだ」と話す。農産品の輸入関税の減免の問題では、米国は日本政府が抱える難しさにしばしば「理解」を示しつつ、ひそかに日本に圧力をかけ続けている。

日本にも米国の「攻撃」への対策がある。現在、米国13州の政府の入札プロジェクトは海外企業に開放されていないが、日本の各都道府県の政府の入札プロジェクトはすべて海外企業の参加を認めている。日本は今回の交渉会合で米国を「迎え撃ち」、米国に対し政府の入札プロジェクトの海外企業への開放をさらに進めるよう求めた。ある日本メディアの分析によると、こうした動きは農産品への関税を守りたい日本の要求を米国に受け入れるよう迫るためだという。

農産品の開放について、日本政府は国内政治において巨大な圧力に直面している。多くの日本人が、TPPに加盟すれば日本の農業にとって非常に大きな脅威となり、農業人口が激減し、農民の所得が減ると考えているからだ。

日本の与党・自由民主党の西川公也委員長は25日、ブルネイを訪れ「戦いを促した」。共同通信の報道によると、西川委員長の現地訪問は日本の交渉官に妥協しないよう活を入れ、日本政府が「聖域」とみなすコメ、小麦、牛肉、乳製品、砂糖などの敏感な問題を抱えた産品の関税の撤廃や引き下げを回避することが狙いだという。

▽発展途上国に不利なルール

TPPは調印国が15年までに貿易のすべての関税を撤廃することを原則とする「高次元」の自由貿易協定だ。米国は今年10月の交渉妥結、協定発効を目指しているが、現在の交渉の進展状況から考えて、予定通りに関連の交渉を終えるのは非常に難しい。ある分析によると、交渉参加国の発展水準はまちまちで、利益も要求もそれぞれ異なる。米欧日などの先進国メンバーの目標は、発展途上国メンバーに工業製品やサービス市場を開放させることで、発展途上国メンバーの目標は、先進国メンバーに農業補助金を引き下げ農業市場を開放させることにある。先進国メンバーの間でも、一部の製品の市場参入の問題をめぐり対立がある。

日本企業は医療機器、コピー機、自動車などの分野で優勢にあることから、今回の交渉ではブルネイ、マレーシア、ベトナムなどにこれらの製品の輸入関税を撤廃するよう求めた。一方、これらの国は自国産業を育成したいと考えており、「自国産業を守る傘」である関税を守ることを求めた。

米国は国有企業に対する政策的支援や補助金を取り消すことを求めたが、これは多くの発展途上国にとって受け入れられないものだ。シンガポールがTPP交渉に参加した時には、投資会社セマテク・ホールディングスが国有企業をめぐる条項に高い関心を示した。ベトナムの経済成長の約40%は国有企業によるもので、ベトナムは国際貿易機関(WTO)のルールを上回るTPPの国有企業に対する要求に一貫して反対を表明してきた。

シンガポール国立大学アジア・グローバル化研究所の黄靖(ホアン・ジン)所長によると、一般の貿易協定は関税に関わるだけだが、TPPは参加国の国内経済構造と大いに関わりがある。TPPの「高次元」の貿易ルールは先進国を参考にして制定されたものであり、発展途上国にとって必ずしも利益になるとは限らないという。オーストラリア・ニュージーランド銀行大中華エリアの劉利剛(リウ・リーガン)チーフエコノミストによると、米国の強みはコンピューターソフトウエアの分野にあるため、米国はTPP交渉で知的財産権の保護期間の延長を望んだが、そうなると東南アジア諸国の技術更新コストが跳ね上がり、技術更新のペースが遅れることになるという。(提供/人民網日本語版・翻訳/KS・編集/TF)

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