定年延長を提案、2020年以降に隔年で―中国研究員

Record China    2013年8月7日(水) 19時40分

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6日、中国で論議が長く続いている「定年延長の是非」をめぐり、世間では論争が再燃している。写真は中国の職業安定所。

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2013年8月6日、中国で論議が長く続いている「定年延長の是非」をめぐり、世間では論争が再燃している。中国社会科学院人口・労働経済研究所の李小平(リー・シャオピン)研究員は、「中国は、希望者を対象とした柔軟な退職制度を2020年までに確立し、2020年以降は、隔年で定年を1年ずつ延長し、2030年に法定定年年齢を65歳とすべき」と提案した。人民網が伝えた。

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統計データによると、定年延長の是非をめぐり、業界からは、以下3つの異なる意見が出されている。

1、定年延長に賛成

中国の労働者の定年は総じて早い。これにより、国家の養老負担が重くなる一方、マンパワーの無駄使いがもたらされている。

2、定年延長に反対

中国の就業難は深刻な状況にあり、定年を延長すれば、就業にマイナス影響が及ぶことは避けられない。

3、柔軟で段階的な定年延長に賛成

段階を経て、徐々に法定定年年齢を延長する。

李研究員の提案内容は次の通り。

「2020年までは、法定定年年齢を延長せずに、希望退職者のみを対象とした退職システムを導入すべきだ。これは、社会の実際の需要に見合うものであり、特に、大学教員、研究機関職員、政府部門職員については、1年の定年延長につき養老年金を5%前後引き上げる。米国は、この方式を採用している。

現在の就業情勢から見て、2020年までは厳しい就業情勢が続くと見込まれる。2020年以降、法定定年年齢を2年に1度、1年間延長するならば、2030年には中国の法定定年年齢は65歳となる。また、人口統計データによると、2030年には、中国の人口増加率はゼロに近づき、就業圧力もかなり緩和されると予想される。全世界における高齢化プロセスは、各国の定年年齢引き上げをもたらしている。これは大局の赴くところだ。

40歳過ぎで退職し、世界一周旅行をしている米国人に出会ったことがある。米国における定年退職の概念は、中国とは異なり、米国には『強制された定年年齢』はもはや存在しない。10年間働いて退職したいなら、いつでも退職できるが、年金の受取開始は65歳以降となる。また、退職年齢を遅らせたいならば、そのまま職場に残ることも可能だ。」

中国における現行の退職年齢は、『労動保険条例(1951年)』により、男性60歳、女性50歳と定められている。『国家公務員の定年退職に関する暫定弁法(1955年)』で、女性幹部の退職年齢が55歳に引き上げられたが、女性の一般労働者は50歳のままだ。特別に体力を必要とする作業、地下・坑道や屋外での作業、有害物質を取り扱う作業に従事する労働者は、5年前倒しで退職することが認められている。

南開大学人口・発展研究所の李建民(リー・ジエンミン)教授は、「一つの国家の法定退職年齢は、ある程度の安定性を保つ必要があるが、決して永遠に変わらないという訳ではない」と指摘した。人々の寿命が延びるに伴い、退職年齢も適宜引き上げられるべきだ。とはいえ、専門家も定年年齢の「画一的調整」は提案していない。医療・教育・研究機関などの業界では、退職年齢を適宜引き上げることが望ましい一方、体力を多く消耗する作業に携わる労働者の身体的状況を考慮に入れた場合、肉体労働者は状況に応じて早期退職が適切なケースもある。

 

過去6年の統計データに基づいて専門家が推計したところでは、社会保険加入者が定年を1年延長した場合、養老年金支給額が490億元(約7795億円)減少する一方、保険料収入が230億元(約3659億円)増加することになり、全体で720億元(約1兆1454億円)の収入増に相当する。定年を5年延長した場合は、3600億元(約5兆7272億円)の増加となり、この額は、2011年の全国平均に基づき計算すると、2000万人の1年分の養老年金を十分まかなうことができる。

李小平研究員は、この意見に対してほぼ賛成の意を示し、「我々には、根拠とすべき具体的な統計データがないが、現時点で、労働者の約半数は定年延長を希望していると私は推測している。2020年までに柔軟な退職制度を実施した場合、上述の数字にもとづき試算すると、年間300億元(約4774億円)以上の養老年金の収入増が見込まれる」と指摘した。

中国が柔軟な退職制度を年内に導入するか否かは、広く世間が注目するところだ。中国人力資源(マンパワー)・社会保障部政策研究司の司長兼広報官である尹成基(イン・チョンジー)氏は、「柔軟な退職制度の導入については、専門家や社会各方面の意見を広く聴いて検討を進めており、慎重に決定したい」との意向を示している。(提供/人民網日本語版・翻訳/KM・編集/武藤)

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