成果を得難い安倍氏の「遠交近攻」外交=国内からも批判の声―中国メディア

Record China    2013年7月29日(月) 16時46分

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28日、人民日報が伝えたところによると、日本の安倍晋三首相は、マレーシア、シンガポール、フィリピンを相次いで訪問した。写真は安倍氏がフィリピンを訪問した際に、同国の元慰安婦とその支持者がマニラの大統領府前でデモ活動を行なったもの。

2013年7月28日、人民日報が伝えたところによると、日本の安倍晋三首相は参議院選挙での連立与党の勝利後初の外遊として、25日から27日にかけてマレーシア、シンガポール、フィリピンを相次いで訪問した。安倍氏は出発前、空港で報道陣に「ASEAN(東南アジア諸国連合)の活力を日本経済の再生に取り込む」ことが目的だと表明した。だが訪問中の言動を見ると、今回の3カ国歴訪も「経済外交」を推し進める一方で、「価値観外交」を行なうものだった。

シンガポール南洋理工大学RSISの李明江氏は27日、人民日報のインタビューに今回の外遊の目的として(1)アジア太平洋地域における日本の影響力を一段と強化する(2)東南アジアの一部の国が中国と領土紛争を抱え、中国への懸念を多少深めている機に乗じて、こうした国々と安全保障分野で関係を強化し、政治的利益を得る(3)東南アジア諸国との経済関係を一段と強化し、「アベノミクス」を売り込む―を挙げた。

米コロンビア大学の日本専門家、カーティス氏は先日「安倍氏は頭は実務的、現実主義的だが、心は情緒的だ。安倍氏は今後、頭と心の葛藤に直面する」と指摘した。

安倍氏は昨年12月に首相に返り咲いて以来、ベトナム、タイ、インドネシア、ミャンマーなど東南アジア諸国、および米国ロシアなど大国を含む10数カ国を相次いで訪問した。安倍氏は「アベノミクス」を売り込んで新市場と安定したエネルギーを求める一方で、「民主カード」を切って周辺国を抱き込み中国を封じ込めようとし、さらにTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉への参加などを通じて日米同盟の強化を図っている。一方、隣国の中国や韓国との関係は領土問題や歴史認識問題のために冷え込んでいる。

安倍氏の「遠交近攻」戦略は国際社会の賛同を得ていないとの指摘がある。東南アジアの大多数の国は日本の技術と投資には歓迎を表明しているが、中国に共同で立ち向かうとの「誘い」には返答を避けている。同盟国の米国でさえ慰安婦憲法改正問題を含む日本社会の「右傾化」に繰り返し懸念を表明している。

李氏は「今回、日本とフィリピンはあいまいな表現で中国を非難した。だが安倍氏が1回の外遊で尖閣諸島(中国名・釣魚島)問題で日本の立場を支持することをASEAN諸国に期待するのは不可能だ。ASEAN諸国は域内の各大国との関係発展を望んでいる。中国を孤立させる政治的目的をひたすら抱いている日本を東南アジア諸国が歓迎することはない。これは日中両国間でどちらかの側に立たねばならない危険な状況にASEANを置き、東南アジア諸国の利益にならない」と指摘した。

日本国内でも批判の声がある。田中均元外務審議官は26日午後、日本記者クラブで講演し、中韓を刺激する安倍政権の外交政策に懸念を表明。「国内のナショナリスティックな感情に従った外交をすると、得られるのは良き世界ではないかもしれない」と述べたうえ、「中国を建設的な形で引き入れることこそが戦略的な目的だ。中国を阻害することで目的は達成できるのか?」と疑問を呈した。(提供/人民網日本語版・翻訳/NA・編集/武藤)

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