日中韓印豪ASEANが連携する世界最大の広域経済連携、TPPよりメリット大―2年後妥結目指す

Record China    2013年5月17日(金) 6時16分

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東アジアのほぼ全域をカバーする自由貿易協定(FTA)である東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の交渉がスタートした。実現すれば人口34億人(世界の半分)、GDP20兆ドル(3割)、貿易総額10兆ドル(3割)を占め、世界最大の広域経済圏となる。資料写真。

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東アジアのほぼ全域をカバーする自由貿易協定(FTA)である東アジア地域包括的経済連携(RCEP=アールセップ)の交渉がスタートした。2015年の妥結を目指し、実現すれば人口34億人(世界の半分)、GDP20兆ドル(世界全体の3割)、貿易総額10兆ドル(世界全体の3割)を占め、欧州連合(EU)を凌ぐ、世界最大の広域経済圏となる。米国主導の環太平洋経済連携協定(TPP)と異なり、緩やかな連携協定なので取りまとめが容易。日本にとっても有利との見方もある。

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RCEPは東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国と日本、中国、韓国、豪州、インド、ニュージーランドの合計16カ国が参加。域内の関税引き下げ、サービス貿易に関する制限の撤廃、投資の促進・自由化などに取り組む。貿易や投資の円滑化により、国際的、地域的なサプライチェーン(供給網)の整備を促す狙いもある。

すべての関税撤廃を原則とするTPPに比べ、RCEPは参加国の個別かつ多様な事情を認識する仕組みなので各国の発展段階に沿った歩みが可能となる。このため所得が低く経済基盤が未整備な新興国も参加しやすいとされる。

 

交渉分野は、(1)物品貿易(2)通信や金融などサービス貿易(3)投資(4)経済及び技術協力(5)知的財産(6)カルテルを抑える競争政策(7)紛争解決(8)その他―の8項目。5月半ばにブルネイで開かれた初回会合で、関税とサービス貿易、投資の3分野で作業部会を立ち上げることになった。

関税の作業部会では、まず関税を下げる対象品目を決め、その後に引き下げる期間を協議する。日本は、RCEPについて「ASEANと各国のFTAが基本になり、農業分野は関税の交渉品目に入らない可能性がある」と分析。このため、関税の原則自由化を掲げるTPPより各国が協調しやすいと見られる。

ただ、新興国を多く含むRCEPはTPPよりもルール作りに時間を要するのは必至。日本、豪州は「全参加国共通の関税率にする必要がある」と主張しているが、中国、韓国、インドは「相手によって別々の内容にすべきだ」と要求している。

  

▽日本企業の成長戦略の目玉に

FTAの最重要課題である関税問題では、ASEAN、日本、豪州、ニュージーランドは「全参加国が共通の内容で撤廃や引き下げを約束する」との立場だが、中国、韓国、インドは非公式に「品目ごとに撤廃や引き下げの中身を変える余地を残すべきだ」と要求している。個別交渉の余地を残せば自由化の水準にばらつきが出て、広域でFTAを結ぶ利点が薄まる。

 

ASEAN諸国、中国、インドにサプライチェーン(供給網)を持つ日本企業にとってメリットは大きく、成長戦略の目玉となり得る。製品、部品、投資などの妨げとなる壁を低くして、域内で共通の貿易・投資のルールを整えれば企業の生産体制はさらに低コストで迅速に機能するようになる。

RCEP参加国は経済発展の段階が異なり市場開放の程度もまちまちだが、世界一の成長センターアジア市場を束ねるため、将来性はTPPよりはるかに大きい。TPP交渉では、日本にとって最優先課題だった対米自動車関税撤廃が先送りになる一方、守りたかった農業分野は事実上聖域視されない方向となってしまった。

2013年中の合意を目標とするTPP交渉の加速をにらみ、第2回会合を9月に豪州で開催する。第3回会合は来年1月にマレーシアで開く予定で、2015年末の交渉妥結を目指す。アジアをけん引する先進国日本が交渉を引っ張り、高い水準の自由化を実現するようけん引すべきである。(取材・編集/HY)

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