<日本人が見た中国>幸せの「微分・積分」…日本人よ、もっと幸せを感じよう

Record China    2013年3月1日(金) 8時31分

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高校の数学の授業で微分・積分を習ったとき、正直なところ「こんなことを勉強して、将来何の役に立つんだ?」と思いながら授業を受けていた。それから30年。中国で起業した筆者はまさかこれが、日本人と中国人の幸福感の差を説明するのに役立つとは思ってもみなかった。

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高校の数学の授業で微分・積分を習ったとき、正直なところ「こんなことを勉強して、将来何の役に立つんだ?」と思いながら授業を受けていた。それから30年。中国で起業した筆者はまさかこれが、日本人と中国人の幸福感の差を説明するのに役立つとは思ってもみなかった。

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日本から来た人に会うと「中国の人たちは元気でいいですね。日本人なんかみんなうつむいて歩いていますよ」というような話を聞くことがよくある。中国ではところ構わず大声で話す人が多いのに対して、日本では公共の場所で大声を出すことはマナー違反なので、外を歩いていると何となく中国の人たちの方がエネルギッシュに見えるのかもしれない。しかし、そうした慣習の違いを差し引いても、中国の人々は豊かで幸せな未来を確信しながら毎日を生きているように見える。

おそらく、中国の人たちは豊かさや幸せを「微分的」に捉えているからなのではないかと思う。今はそれほどではなくても、この右肩上がりが続けば10〜20年後にはものすごく豊かで幸せになっているであろう、という希望が彼らを元気にしているのだろう。筆者が日本に帰らずに中国で起業したのも、同様の希望を感じたことが理由のひとつだった。その“大いなる勘違い”のおかげで、起業後、いろいろとひどい目に遭ってしまうわけだが…。

一方の日本。2010年に国内総生産(GDP)で中国に抜かれ、世界第2位の経済大国の座を譲り渡したとはいえ、1人当たりのGDPではまだまだ中国の8倍。中国の人たちの8倍豊かなのだから、8倍幸せでもよさそうなものだが、実際は日本国内には閉塞感が漂い、8倍幸せどころか、むしろ中国の人たちよりも不幸せそうに見える。

この不幸せの原因は、日本人も中国の人たちと同じように、豊かさや幸せを「微分的」に捉えてしまっているためなのではないかと思う。今後日本は、少子高齢化が進んで労働力人口が減少し、国力が右肩下がりで衰退していくことが予想されている。その傾き方を考えると、将来に希望を見出せなくなり、それがどんよりとした停滞ムードを生み出しているのだろう。

しかし、豊かさや幸せを「積分的」に考えれば、日本人は中国の人たちより8倍豊かであり、8倍幸せであってしかるべきだ。また、万一、今後日本がものすごい勢いでマイナス成長を続け、1人当たりのGDPが現在の半分まで落ち込んだとしても、それでも今の中国よりまだ4倍豊かなのである。こんな恵まれた状況に身を置きながら、どうして悲観的になる必要があるだろうか。将来を憂慮して萎縮しながら生きるより、今ある豊かさに感謝して、元気に幸せに暮らしていった方がよいような気がする。

国民全員が元気で幸せに暮らすこと。これこそが日本の総合的な国力を高め、結果的にはより豊かでより幸せな国を作っていくことになるのではないかと思う。

■筆者プロフィール:柳田 洋

北京華通広運物流有限公司 総経理

1966年東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、丸紅で石炭貿易に従事。1996年より5年半にわたり丸紅北京支店に駐在するも、起業の志捨て難く、2001年丸紅を退社。そのまま北京に留まり駐在員事務所代行サービス会社を設立。その後、クロネコヤマトの海外引越代理店として物流事業を立ち上げる。2012年、日本の国力の維持に微力ながら貢献するために、中国市場開拓サポートサービスを開始。著書に「起業するなら中国へ行こう!」(PHP新書)。

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