深刻な大気汚染、エネルギー構造の改善が解決の鍵に―中国

Record China    2013年1月19日(土) 18時54分

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18日、中国の東部・中部の各都市が連日濃霧に包まれており、深刻な大気汚染に見舞われている。写真は17日の山東省徳州市。

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2013年1月18日、中国の東部・中部の各都市が連日濃霧に包まれており、深刻な大気汚染に見舞われている。気候条件の変化に伴い、濃霧は最終的に解消されるだろうが、政府と国民の環境保護に対する関心は風と共にかき消されてはならない。環境汚染は社会の生産と生活に深刻な影響を及ぼしており、人々の健康に危害を加えている。環境保護、美しい中国の建設は一刻の猶予も許されず、書面や口頭だけのものとしてはならない。人民日報(電子版)が伝えた。

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霧は本来、一つの自然現象であり、古文書にも記載されている。詩人の朱自清が散文「荷塘月色」の中で描写した「青みを帯びた淡い霧が蓮池に浮かぶ」は、ぼんやりとした美しさを表現している。しかしながらこのほどの濃霧は人々に美しい印象を与えていない。

今回は中国の大半が濃霧に覆われた。これは地上の風速の低下や高湿度など、自然条件と一定の関連性があるが、汚染物の排出量こそが深刻な汚染の張本人だ。北京市の環境保護部門は、石炭、自動車、工業、砂塵などの汚染物の排出量が増加し、今回の濃霧による深刻な汚染の根本原因になったと表明した。これは中国の環境保護事業にとって深刻な警告である。

重点汚染企業の排出削減、施工会社の沙塵発生の防止、政府機関の一部の公用車の使用停止といった末端部の処理は臨時的な措置であり、長期的・効果的なメカニズムを形成しがたい。環境汚染の現状を改善し、環境悪化の流れを覆すためには、経済発展方式を徹底的に変化させ、エネルギー消費の増加をより良く抑制し、省エネ・排出削減を推進する必要がある。

環境保護部門は現在、効果的な法的手段を持たず、汚染企業の操業停止が効果的に実施されていない。最高5万元(約70万円)の罰金は汚染企業にとって痛くも痒くもなく、力を発揮していない。一部の地方は税収・雇用などを考慮し、エネルギー消費と汚染が深刻な企業の生産を黙認し、さらには支援している。そのため環境保護部門の法執行力の強化、汚染企業の厳罰化は、非常に差し迫った課題となっている。

客観的に見て、中国は依然として工業化の中期に当たり、発展が遅れている。中国の1人当たりGDPは米国の約10分の1だ。このような状況下、エネルギー構造の変更、クリーンエネルギーの使用推進は、中国の省エネ・排出削減および環境保護にとって、現実的な手段である。

エネルギー構造を見ると、中国のクリーンエネルギー発電は設備容量全体の3割に満たない。石炭は中国の一次エネルギー生産・消費量のうち、約70%を占めている。今回の濃霧発生の直接的な原因の一つは、中国北方の暖房供給に伴う石炭燃焼の増加だ。毎年約40億トンの石炭が消耗されており、環境に深刻な負担をもたらしている。汚染物の減少、特に汚染ガスの排出削減に向け、石炭を中心とするエネルギー構造を変更し、石炭・石油などの化石エネルギーの使用をできる限り減らす必要がある。

長期的に見ると、風力エネルギー、太陽エネルギー、水力エネルギーなどの再生可能エネルギー・クリーンエネルギーは中国のエネルギー供給を解決し、省エネ・排出削減を推進する必然的な措置である。これらのエネルギーは現在、技術、コスト、送電、水資源の総量などによって制限されている。

天然ガス・原発の開発強化もまた、実行性の高い選択肢だ。データによると、中国のシェールガス資源は種類が多く、分布が比較的集中しており、採掘可能な埋蔵量が25兆立方メートル(青海省・チベット自治区を除く)に達する。これは中国の陸上の天然ガスと同等の量であり、米国の24兆立方メートルに近い規模だ。中国のシェールガスの埋蔵量は米国を大きく上回るとする分析もある。そのため中国はシェールガス採掘・開発技術の改善を急ぎ、開発コストを引き下げ、開発による汚染問題を解決する必要がある。同時に民間資本のシェールガス調査・開発への参入を促すべきだ。

原発の開発利用もまた、安全性を確保した上で安定的に推進するべきだ。現在の原発技術は安全性が保証されているとはいえ、福島原発事故により中国の原発開発・利用のペースが乱されるべきではない。フランスなどの国では原発の発電量が全体の70%以上に達しており、中国の原発開発は遅れが目立つ。原子力エネルギーは比較的クリーンで低コストなエネルギーであり、中国はその開発利用を安定的に推進するべきだ。

中国の石油対外依存度が57%に達し、60%に近づくにつれ、エネルギー確保の問題が日増しに重要になっている。非伝統的エネルギーの利用拡大はエネルギー安全保障の需要であり、省エネ・排出削減実現に向けた効果的な手段である。石炭を中心とするエネルギー構造は、矛盾と問題が日々深刻化している。新エネルギー技術の成熟化に伴い、短期間内に石炭を中心とするエネルギー構造の変更が可能となった。

広範囲の濃霧により引き起こされた数日間の深刻な汚染は、国民に対して環境保護の警鐘を鳴らした。濃霧が去った今、行動を始める時が来た。(提供/人民網日本語版・翻訳/YF・編集/TF)

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