南シナ海めぐる米中の対立、ASEAN諸国の中国への信頼度低下を招く―米シンクタンク

Record China    2012年11月23日(金) 17時36分

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22日、南シナ海の領有権問題で米中両国が対立を深めることは、ASEAN諸国にとって中国への信頼を薄れさせるものだと米シンクタンクが指摘した。写真は中国が領有権を主張している南シナ海のパラセル諸島。

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2012年11月22日、環球時報(電子版)によると、東アジアサミット(EAS)がカンボジアのプノンペンで20日に開催され、米オバマ大統領とASEAN(東南アジア諸国連合)各国の首脳、中国の温家宝(ウェン・ジアバオ)首相が前日の会議に出席した。米国の学者は南シナ海をめぐる米中の対立は東アジアサミットをこう着状態に陥れる可能性があると指摘している。

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オバマ大統領は多国間の枠組みのなかで南シナ海問題を解決しようとするのに対し、中国は当事者間で解決することを求めている。この立場の違いから、東アジアサミットは5カ月以内に2回目のこう着状態を迎えるとの予想も。ウォール・ストリート・ジャーナルは、中国支持の加盟国と中国と領土問題で対立する国とはその立場は全く異なるため、ASEAN加盟国はそれぞれ連合への忠誠か、中国への忠誠のいずれかを選ばなければならず、この地域の不安定さを招くことに。特に東アジアでの影響力を求める米国にとって南シナ海問題は極めて大きな意義を持つ。

オバマ大統領と温家宝首相との会見では、共に米中関係の友好的な長期発展の重要性を説いたが、南シナ海問題では双方が伝える情報に食い違いが出た。また、ASEAN加盟国間の相互信頼度も高くないという。

米シンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)東南アジア研究員のアーニー・バウアー氏は、東アジアサミットはASEAN加盟国の中国への信頼を低下させ、東アジアのリーダーとしての中国の長期イメージを損ねることになると指摘。「サミット閉幕後に加盟国は『中国は一体ASEANから何を得ようとしているのか?』と考え込むようになる」と述べた。

ASEANは同時に、米国を排除して中国を経済発展の主要国家の1つとする域内包括的経済連携(RCEP)の交渉も開始。ニューヨーク・タイムズは「主権争いが絶え間なく続いている東アジアの国々にとって、RCEPは楽観的情報となった」と評価した。また、シンガポール国立大学東アジア研究所の学者、パリット氏は「米国主導の環太平洋連携協定(TPP)は中国を蚊帳の外に置くことが目的。しかし、アジア経済上重要な位置を占める中国を排除することには大きな疑問を感じる」と述べている。東アジアサミットの主要議題は経済協力であったにもかかわらず、フィリピンなどの一部の国は海洋主権問題を提起した。南シナ海問題をめぐっては不協和音の出た今回のサミットだが、各国ともにこの問題を論議する際には平和的理解の下に行っている。中国も「南シナ海行動規範」を推進することで積極的な姿勢を示している。

中国外交部の傅瑩(フー・イン)副部長は「経済危機と一部の地域における不安定な情勢という背景で、東アジアの平和と安定は非常に重要。南シナ海問題について中国は常に一貫した立場をとっている。中国とASEAN加盟国は一定の原則を達成した。この問題の国際化には反対する」と米国をけん制した。(翻訳・編集/本郷)

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