日本経済、再び「失われた10年」を迎えるのか?―中国メディア

Record China    2012年10月23日(火) 21時22分

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18日、日本銀行は先月行われた金融政策決定会合で、資産買い入れ基金の総額を増やし、80兆円とする計画を発表した。写真は新宿。

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2012年10月18日、日本銀行は先月行われた金融政策決定会合で、資産買い入れ基金の総額を増やし、80兆円とする計画を発表した。日本におけるデフレの進行、そして米連邦準備制度理事会(FRB)のQE3(追加的量的緩和政策第3弾)決定といった背景の中、日銀によるこの措置は驚くべきことではない。日本銀行北京事務所所長の新川陸一氏は、「世界経済全体が低迷する今、各国の中央銀行が健全なマクロ経済を維持するために緩和的な金融政策を実行するのは自然なこと」と語る。第一財経日報が伝えた。

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データによると、日本の第2四半期のGDP成長率は前期比0.3%、8月のCPIは前年比−0.4%となった。これは日本の経済成長が依然として停滞状態にあることを意味する。

日本経済を専門とする中国社会科学院アジア太平洋研究所の馮維江(フォン・ウェイジアン)氏はこれについて、「日本が再び『失われた10年』を迎える可能性は高い。現時点でまったく好転の兆しが見られない」と指摘する。

▽手の打ちようがない日本

馮氏は「日銀の措置には限りがある。現在の政策金利(無担保コール翌日物金利)は0−0.1%のままで、非常に低い状況にあり、すでに引き下げる余地はほとんどない。ゆえに資産を買い入れるほかないが、たとえそうしたとしても、年末までに物価上昇率1%の目標は達成できないだろう」と指摘する。

日本経済の将来について新川氏は、「日本経済は構造改革を行わなければならない。日本経済は高齢化の問題に直面しており、就職市場も改革が必要だ。また、労働力市場はより多くの労働力(女性)を必要としている」と語る。

新川氏はまた、円高に対し懸念を示した。「為替レートの大幅な変動はマクロ経済に大きなマイナス影響をもたらす。現在、多くの日本輸出企業が円高で困難に直面している。企業の輸出が大幅に下落すれば、国の経済成長にとっても大きな圧力となる」。内閣府が8月に発表した第2四半期の純輸出の実質GDP成長率に対する寄与度は−0.1%となり、輸出志向型経済を主としていた日本に重大な打撃がもたらされた。

馮氏は、「短期間での日本円上昇により、日本の経済回復は圧力に直面した。QE3の実施後、円高圧力はもっと大きくなるだろう。さらに、欧州債務危機の動向も円高に対して一定の圧力を形成している。日本円は安全資産と見なされており、日銀もこれを警戒しているが、資産を引き続き買い入れる以外なく、その手段は限られている」と指摘する。

新川氏は日本経済に対する日銀政策の重要性を強調する一方で、「日本は財政改革にもっと注目するべき」との見方を示した。これに対し馮氏は、「日本政府の財力は有限であり、財政の角度から経済回復をけん引できる可能性は極めて低い」と指摘する。

日本メディアの報道によると、日本は2014年4月以降、消費税を8%に引き上げる計画だ。これについて馮氏は「日本政府が増税に踏み切った重要な目的として、政府の収入を増やし、当面の債務圧力を緩和することがあげられる。しかし1995年の経験からも、増税は政府の収入増加に効果がないことが証明されている。経済が成長しなければ、政府収入が増加することはなく、一方で社会保障支出も避けられない。このような情況の中、日本政府のとりうる手段は非常に限られている」とする。

▽日本経済は再び「失われた10年」に直面するのか

新川氏は、「日本は深刻な高齢化問題に直面しており、労働力不足は深刻だ。これは消費ニーズと政府税収の増加を直接的に制約する要素となっている」と強調する。

ある統計によると、10月1日の時点で日本の労働人口は前年同期比0.2%減少した。減少のペースは今後さらに加速すると見られている。また同報告によると、日本の65歳以上の人口の割合は全人口の23.4%に達し、世界一となった。

労働力不足は日本の生産低下を招き、高年齢層の増加は政府の負担を重くする。新川氏は「日本は中年層以上の消費意欲が比較的強いが、若者の消費能力は限られている。また、労働力不足と高齢化は遠くない将来、日本の貯蓄率の持続的な減少を招くだろう。日本の膨大な公債は、これまで高貯蓄率に支えられてきた。貯蓄率の低下は日本政府にとって新たな長期的プレッシャーになる」と語る。

貯蓄率が引き続き下がれば、日本の債務問題勃発は避けられない。馮氏は「日本政府は公債の問題において世代間移転に頼るほかない。最終的に行き着くのは債務不履行、組織再編だ」とする。

馮氏はまた、日本経済の成長を妨げる重要な原因として、労働力不足の問題の他に、日本の伝統的な金融構造があると指摘する。「日本は銀行主導型で、銀行が伝統的な企業の景気循環に基づき融資を行い、産業循環の面からリスクコントロールを行っている。一方の米国は市場主導型で、これによりイノベーションを奨励し、経済発展をけん引している。日本経済は外部からの刺激に極端に依存しており、日本経済の成長が最も速かったのも、米国からの支援があった時期だ。産業政策と政府の方策に依存しすぎて、日本は強大な新興産業を発展させるのが難しくなっている。また日本の成熟して安定的な社会も、中国の都市化に見られるような原動力に欠ける」。

アジア開発銀行研究所の河合正弘所長は「日本政府が今しなければならないことは、次の『失われた10年』をなんとかして免れることだ。これが実現できるかどうかは時間が証明するだろう」と語った。(提供/人民網日本語版・編集/TF)

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