2012年3月28日、言わずと知れた世界遺産の宝庫である中国は、2011年までに文化遺産・自然遺産および複合遺産合わせて38カ所が登録された。シリーズ「中国の世界遺産」、第2回は「九寨溝の渓谷の景観と歴史地域」をご紹介する。

【その他の写真】

中国の南西部・四川省にある九寨溝は1992年、世界遺産（自然遺産）として登録された。

■神秘の九寨溝（きゅうさいこう）

四川省北部の自然保護区、九寨溝。岷山山脈の標高2000メートルから3400メートル付近に位置する。「九寨溝」の由来はその昔、この一帯にチベットの集落が九つあったことから名づけられた。今では、九寨溝は有名な観光地になり、大自然が生み出した幻想の仙境と呼ばれる。

九寨溝はジャイアントパンダや、孫悟空のモデルにもなったキンシコウなどの絶滅危惧種の生息地としても有名だ。谷はY字状に分岐しており、手つかずの原始林に大小100以上の湖、渓流、瀑布が連なる。チベット族の伝説では、九寨溝はその昔、山の女神が天界から落とした鏡が108つに砕け散って湖になったと言われている。石灰岩の成分が沈殿している影響で湖底は白い鏡のようになり、そこへ岷山山脈から流れてきた澄んだ水が太陽の光に反射してエメラルドグリーンに輝く。その水はどこまでも青く透明で、目を凝らせば、湖底の小魚の群れや横たわる樹木の細部まではっきりと目にすることができるほど。光によって微妙に変化する湖面の水と樹木が織りなすコントラストは、思わず息をのむほどに美しい。湖底の水は渓流や瀑布に流れ出す。落差の大きい瀑布では水が霧状になり、虹が現れることもしばしば。その幻想的な風景の美しさに、感動を覚えずにはいられない。

■データ

世界遺産登録年：1992年

世界遺産登録名：九寨溝の渓谷の景観と歴史地域

世界遺産分類：自然遺産

アクセス：四川省・省都の成都市から400キロ(空路：約40分。さらにバスで約1時間半/陸路：バスで約11時間)

※本記事は楽旅中国（Rakutabichina．com）の特別提供。楽旅中国は、中青旅控股股フェン有限公司（CYTS）傘下で展開する中国旅行専門の日本語オンラインサービスです。