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<コラム・巨象を探る>高成長を当面維持するが構造的難題に直面―中国経済の行方を大胆予測

配信日時:2012年2月23日(木) 6時17分
<コラム・巨象を探る>高成長を当面維持するが構造的難題に直面―中国経済の行方を大胆予測
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世界景気のけん引役・中国について、景気失速、バブル崩壊、地方不良債権問題などのリスクが取りざたされている。その行方は国際経済に与える影響が大きいだけに、実態を冷静に分析する必要があろう。写真は上海市の高層ビル。
世界景気のけん引役・中国について、景気失速、バブル崩壊、地方不良債権問題などのリスクが取りざたされている。その行方が国際経済に与える影響は甚大だけに、実態を冷静に分析する必要があろう。

【景気失速リスク】2011年のGDP成長率が9.2%(前年10.4%)と伸びが鈍化、今年は8%台になるとの予想も出ている。キヤノングローバル戦略研究所の瀬口清之研究主幹は「成長率の低下は中国政府が実施してきた緩やかな金融引締め政策の効果によるものであり、政府が意図した通りの結果。これによってインフレ圧力を抑制することに成功した」と分析。消費者物価上昇率は昨年7月に、警戒ラインの5%を大幅に超えて前年比6.5%に達したが、その後低下傾向をたどり、11月以降は4%台前半に落ち着いている。

柯隆・富士通総研上席主任研究員も、今年の中国経済について「物価の落ち着きとともに景気を刺激する方向に政策が動き、高成長を維持する」と予測。「11年のGDPの伸びは前年より1%程度下がったが、潜在的な経済成長率は約9%なので妥当」としている。一番の強みは、個人で32%、全体で52%にも達する貯蓄率の高さ。「高貯蓄率が投資を支え経済をけん引する」と語る。

欧米の景気後退に伴う影響が懸念されるが、柯氏は「中国の輸出品は安価な生活必需品が多く大きく落ち込まない。投資引き揚げも相対的に微々たるレベルにとどまる」と楽観的。「今年秋の胡国家主席らの退任への花道の意味でも高い成長率を維持する」と見込む。何年も前から中国経済はいずれ失速すると言われながら、米欧日の苦境を尻目に主要国で「1人勝ち」が続いている。このまま高成長が続けば10年以内に米国を抜き世界一の経済国家になるとの予測もある。

【バブル崩壊リスク】上海、北京の不動産価格は2、3年前には30〜50%もの高い上昇率に達したが、最近は前年割れの水準にまで低下している。「バブル崩壊」のリスクが懸念されるが、「行政的手段による半ば強制的な取引停止措置により、売買が成立しなくなっているためで、実需は衰えていない」(瀬口研究主幹)という。北京、上海の大都市中心部の価格は低下しておらず、内陸部の成都、武漢等では依然前年比10〜20%前後の値上がりが続いている。供給、需要両サイドが様子見の姿勢のため、取引量の激減により資金調達力の乏しい中小業者が、資金繰りに窮してやむなく値引き販売を強いられており、それが統計データ上の価格下落として現れている。こうしたことから、当面は不動産価格の長期下落が生じる可能性はなく、それが不良債権化するリスクもなさそうだ。

【地方債務リスク】2008年のリーマンショック後の経済刺激策の一環として地方政府が手がけた不動産開発の一部が不良債権化し、その資金調達に利用された金融会社向けの融資が焦げ付いている。銀行監督当局による厳しい資産査定の結果、楽観はできないが中国の財政余力から見ればコントロール可能な範囲内と評価された。

中国政府は、米国などに留学した気鋭の経済学者を呼び戻し日本のバブル形成、バブル崩壊の過程を「反面教師」にして研究している。中国政府関係者や有力民間エコノミストは、現在高度成長期の真只中にある中国経済ではバブル崩壊に伴う不良債権問題の深刻化は起こり得ないとの見方で一致。高度成長の恩恵を受ける地域が従来の臨海部から内陸部に移行しつつあることもプラスに作用しているという。

しかし、中長期的には政府が推進する「社会主義体制下での資本主義」の制度や社会基盤が整わず、所得格差、都市農村格差、環境破壊、官僚腐敗、情報統制など多くの解決すべき難題に直面している。柯氏は「このままではサステナビリティ(持続可能性)の問題に直結する」と警告する。これらは10年前から胡錦濤主席が取り組んでいる課題だが、大半が先送りとなりそう。

中国の次期最高指導者に内定している習近平副主席は「中国経済は今年、安定した成長を続ける。ハードランディングはない」と指摘した上で、「われわれは今年以降、経済成長の目標を適切に引き下げていく。そのことはインフレ、エネルギー、資源、環境面でのプレッシャー緩和に寄与するだろう」と強調している。今秋発足する習近平体制に課せられた使命はあまりにも大きい。
<巨象を探る・その14>

<巨象を探るはジャーナリスト八牧浩行(Record China社長・主筆によるコラム記事)>
※掲載している内容はコラムニスト個人の見解であり、弊社の立場や意見を代表するものではありません。
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