<在日中国人のブログ>高齢者の社会福祉で日本は中国の手本、でも中国から学んでほしいことも

配信日時:2018年3月18日(日) 16時0分
高齢者の福祉で日本は中国の手本、でも中国から学んでほしいことも
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中国は日本と同じく高齢化を迎えている。政府としても家庭・個人としても、さまざまな問題に直面するだろう。先日、中国の田舎にある老人ホームを見学した。写真は筆者提供。
中国は日本と同じく高齢化を迎えている。政府としても家庭・個人としても、さまざまな問題に直面するだろう。私は日本に来る前に、シニア向け新聞社で働いていた。中国では、各省に少なくとも1つの「老人新聞」がある。定年退職の人々が「老人新聞」を購読する。老人ニュース、健康知識などが内容で、情報量はたっぷり。お年寄りはネットを利用する機会が若者よりかなり少ないため、高齢化に関する情報を一つの新聞にまとめればお年寄りに役に立つということだ。日本に同様の「老人新聞」はないだろう。似たようなもので、シニア向けフリーペーパー広告媒体「定年時代」を読んだことがある。

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また、80年代から中国の各地域で老人大学が続々生まれ、1988年には「中国老年大学協会」が設立された。大勢のお年寄りが老人大学で絵画・書道・歴史・言語(日本語も含め)などの教養知識を勉強している。

若いころから、高齢者と接触していたので、私はいつも高齢化問題に関心を抱いている。この前、中国に戻る際に、田舎にある老人ホームを見学した。都市の中心部から車で1時間半ぐらい距離のところ、山の中、空気が清々しく美味しい。数棟の建物が点在している。この老人ホームの特徴と言えば、建物の周り、広い菜園がある。さまざまな野菜が栽培されており、鶏も飼育している。野菜と鶏肉を入居者の食材に充当している。

食堂で、採ったばかりの無農薬野菜を試食した。本当に新鮮で美味しくて、お年寄りも喜ぶだろう。老人ホームのスタッフが菜園を手伝っていることから、経営者側も老人ホームの経費削減ができるし、入居者の負担も軽くなる。1部屋で1人あるいは2人が入居可能。入居者の負担費用は食費も含めて毎月2500〜6500人民元。日本円で4万円から11万円ぐらいである。日本の老人ホームと比べたらかなり安いだろう。

老人ホームの中には、茶室やマージャン室、図書室、編集室が設けられている。なぜ編集室があるのかと不思議に思っていたが、なんと、一部のお年寄りが日々自伝を書いているようである。自ら書いて、編集して、簡易な「本」を作って、人に見せる。まるで人生の集大成的なもの。老人ホームにはお医者さんと看護師さんもいる。日常的にお年寄りたちの健康状態をチェックしている。

高齢化問題、日本と中国に共通の難題である。お互いに情報交換をすべきだと考える。もちろん、中国はまだまだ日本から学ぶことが多い。高齢者の社会福祉など、日本は中国の手本である。あるお年寄りから聞いた話だが、今では家の中、ケアセンターあるいは病院に直結のボタンを設けることができる。緊急の時、ボタンを押して救急車を呼べる。日本では多くの独居老人が利用しているようだ。

そして、今回話した中国の「老人新聞」「老人大学」と「菜園に囲まれる老人ホーム」、少しでも日本の方々の参考になればと思う。中国では、老人福祉政策に関して、5つの方針が強調されている。「老有所養、老有所医、老有所為、老有所学、老有所楽」である。それは、お年寄りの扶養、医療、社会参加、生涯学習、趣味娯楽のサポートを指す。人生100年時代、その5つのことがどれも欠かせないもの。5つのことに恵まれてこそ、長生きできるのではないか。

■筆者プロフィール:黄 文葦
在日中国人作家。日中の大学でマスコミを専攻し、両国のマスコミに従事。十数年間マスコミの現場を経験した後、2009年から留学生教育に携わる仕事に従事。2015年日本のある学校法人の理事に就任。現在、教育・社会・文化領域の課題を中心に、関連のコラムを執筆中。2000年の来日以降、中国語と日本語の言語で執筆すること及び両国の「真実」を相手国に伝えることを模索している。
※掲載している内容はコラムニスト個人の見解であり、弊社の立場や意見を代表するものではありません。
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