TPP離脱から復帰検討へ、トランプ氏が方針転換、米メディア「もう遅い」

人民網日本語版    2018年1月31日(水) 18時40分

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米国のニュース専門放送局CNBCがこのほど伝えたところによると、トランプ大統領は数日前、「米国にとって『よりよい』協定になるなら、環太平洋経済連携協定(TPP)への復帰を改めて考える」と述べた。資料写真。

米国のニュース専門放送局CNBCがこのほど伝えたところによると、トランプ大統領は数日前、「米国にとって『よりよい』協定になるなら、環太平洋経済連携協定(TPP)への復帰を改めて考える」と述べた。解放日報が伝えた。

▽二国間貿易の発展は時代に合わない

トランプ大統領はTPPに開放的な態度を示したが、1対1の二国間貿易協定の交渉をより重視する姿勢もみせた。米誌ヴァニティ・フェアは、「多国間貿易は複雑で錯綜することが多いので、トランプ大統領が『団体購入をやめて、単独注文を選ぶ』傾向をみせることは理解できる。トランプ大統領は政治家になる前の経歴により、二国間を土台にしてこそ、米国の労働者と米国企業によりよい環境を生み出すことができると確信するようになった」との見方を示した。

だが貿易専門家の多くは、「今は二国間貿易関係の発展に力を入れるのに適切な時期ではない」とみる。長年にわたり米国政府で貿易担当の官僚だったウェンディ・カトラーさんは米紙ワシントン・ポストの取材に答える中で、「貿易パートナーは、特にアジアの貿易パートナーは、二国間貿易関係の将来にそれほど興味を感じないようだ」と述べた。フィナンシャル・タイムズは、「トランプ大統領はTPP参加国やその他の貿易パートナーと二国間合意を締結したい考えだが、いざ日本をはじめとする各国との交渉開始を検討するようになると、理想と現実との大きなギャップに気づくだろう」と報じた。

アナリストは、「トランプ政権が二国間貿易関係の発展を願いながら、あちらこちらでカベにぶつかっている原因は、米国の貿易理念と現代の貿易モデルが合わないことにある。たとえばスマートフォンの部品が日本や韓国で製造され、中国を通じて米国や欧州に輸出されるケースがある。こうした貿易プロセスにはさまざまな役割をもった国々が関与する」と説明する。米紙ディプロマッツも「グローバル供給チェーンと『デジタル貿易』が経済の多国間主義の加速的発展を後押ししており、こうした状況はアジア・太平洋地域だけで発生しているわけではない」と指摘する。

ホワイトハウスがTPP11を再構築しようとしても、もう遅い

トランプ大統領は選挙戦の初期からTPPに強く反対し、就任して最初の週に離脱を宣言した。フィナンシャル・タイムズは「米国の大勢の貿易・外交政策専門家が考えるように、トランプ大統領のTPP離脱宣言は戦略的なミスだ。米国は数年の時間をかけて日本をはじめとする11のエコノミーと交渉を重ねてきたのであり、TPPはそもそもオバマ政権で最重要の地経学(ジオエコノミクス)における優先事項だった」と指摘する。

米国がTPPを離脱してから1年後、米国を除く11カ国は3月8日にチリで新協定(TPP11)に調印することを決定し、新協定は早ければ2019年にも発行する見通しとなった。

米紙ザ・ヒルは「貿易交渉の進展には時間がかかるのが普通だが、11カ国は『稲妻のようなスピード』で問題を解決した」と報じた。ワシントン・ポストは「TPP11の象徴的意味は明確だ。貿易問題において、各国が米国のいない状態で引き続き前進しようとしているということだ。日本はこれまでずっとTPPで主導的役割を果たそうとしており、日本を含む各国がリーダーの不在を埋めようとがんばっている今、貿易自由化の未来はもはや米国の手の中にはない」との見方を示した。

フィナンシャル・タイムズは、「11カ国は引き続き米国にTPP復帰の余地を残しており、米国がこれまで要求してきた条項約20項目を凍結して、合意から完全に削除することはしていない。トランプ大統領の方針により、米国がTPPに復帰するなら、大統領はTPPをめぐるより深いレベルでの交渉を再開することになる」と伝えた。だがCNBCの報道では、「ほぼ誰もがうなずくのは、11カ国の素早い動きを前に、方針を転換したトランプ大統領がTPP11の条項を再構築しようとしてももう間に合わない、ということだ」と指摘した。

トランプ大統領はTPP復帰の具体的な理由を明らかにしていないが、二国間貿易がカベに当たり、「米国第一」が不満を引き起こし、TPPが「生まれ変わった」などの要因が、大統領に方針を転換させたものと考えられる。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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