【週末美術館】レジャーシートの向こう側に

赤・白・青のさわやかな三色が印象的なレジャーシート。子供時代の遠足を思い出すようなノスタルジックなアイテムだが、現在まで長年にわたって愛されてもいる実用品だ。

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このレジャーシート、お隣の中国では日本以上に生活に密着している。ひとつは、建築現場を覆うシートとして。ふたつめは、シートを縫い合わせ、大口の荷物を運ぶ簡易バッグとして。これは「蛇皮袋」と呼ばれている。みっつめは、テントのようにシートを張り、貧しい肉体労働者の住まいとして。街中を歩けば至るところで目にするこのアイテムをモチーフに、油彩画家の郭凱軍（グオ・カイジュン）は「レジャーシートシリーズ」と題した連作を発表した。

社会の片隅の、あるいは最下層の生態を、そして中国社会の問題をあぶりだすための最適なモチーフ。シートの向こう側に影絵で展開される生活のさまざまな一場面は、あまりに具体的でリアルだ。だが、それを過剰に深刻にとらえることはせず、ユーモアとペーソス、皮肉を織り交ぜて表現している点が、より注目と説得力を増している理由だろう。（文/山上仁奈）

●郭凱軍（グオ・カイジュン）

中国人画家。西安美術学院油彩画学科卒業。魯東大学美術学院で副教授を務めながら、北京を中心に創作活動を展開している。著書に「絵画色彩提示図譜」。

写真提供：匯泰国際文化発展有限公司（中国・天津）

※週末美術館では、中華圏のアーティストを中心に日本や世界各地の写真作品、美術作品、書道作品など様々なジャンルの作品をご紹介していきます。