<レコチャ広場><尖閣動画流出>そもそも機密?問題は「流出」なのか「事件」なのか―日本

Record China    2010年11月6日(土) 22時0分

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2010年11月、尖閣諸島における漁船衝突事件のビデオがユーチューブに流出するという前代未聞の騒ぎが発生した。政府部内からの情報流出、つまり機密情報の管理不徹底がそれを上回る大問題として浮上して来た。写真は内部告発サイトの創設者。

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2010年11月、尖閣諸島における漁船衝突事件のビデオがユーチューブに流出するという前代未聞の騒ぎが発生した。中国漁船による海保艦船への悪質な衝突が大問題だったはずが、一転、事件そのものよりも政府部内からの情報流出、つまり機密情報の管理不徹底がそれを上回る大問題として浮上して来た。自民党の石原伸晃幹事長をはじめ野党側は早速、民主党政権の責任を声高に追及し始めている。

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素朴な疑問がある。あれは果たして「機密」に属する情報だったのだろうか。そもそも、海保が尖閣諸島海域でビデオ撮影していたのは国民への公開を前提にしていたという専門家の解説がテレビで流れていた。だとしたら公開しない理由は見当たらない。

事件が刑事上の手続きに入ったために、いつの間にか「証拠」だから軽々に公開できないという論法になってしまった。刑事事件の証拠は一般に公表すると証拠能力がなくなるという条文でもあるのだろうか。その結果として、日本および中国の国民たちが知る権利はそっちのけとなり、国会を巻き込んで「証拠」のハンドリングが新たな課題となった。

しかし、そもそも公開前提の資料がわけの分からない“機密”扱いされるやり方は、新聞・雑誌のスクラップ記事までが機密扱いされるような、何でも機密で国民には何も知らせる必要はない、という悪しき役所の体質そのものだ。

真の機密性が薄くても、「一度手続き的に機密とされた情報の流出なら放置できない」「危機管理が問われるのは当然だ」というのも役所の理屈としてはよく理解できる。

だが、政治家たちが尖閣事件や補正予算までそっちのけで、元は機密でなかった「一応は機密」の流出を問題視するサマは苦笑せざるを得ない。

自民党幹事長の父親である石原慎太郎・東京都知事が「内部告発でしょ。『こんなこと黙ってられるか』という、どこの局庁の人間か知らんけれど、『冗談じゃねえや、国民に実態を見てもらいたい』という形であれが流出した。結構なことじゃないですか」と語ったのが面白い。政治家らしいコメントだと感じた。

ちょうど米軍の機密情報に挑戦する内部告発サイト・ウィキリークについて記事で紹介したばかりだったが、今回の「一応は機密」ののんきな尖閣諸島ビデオと、スパイ容疑に問われ命の危険を冒して暴露しようという米軍機密でははたから見て緊張感が全然異なる。

そもそも、元市民活動家がトップ(首相)を務め野党時代から国民への情報公開を強硬に求め続けていた民主党政権が、このような実に役所的な非公開情報を半端な外交カードなどとして“操作”したこと自体が見苦しかった。

マトモな判断能力を持った中国国民のためにも、現実を見てもらうことが日中の相互理解につながることに議論の余地はない。魯迅の名作「阿Q正伝」に登場する阿Qばかりなら仕方がないが。

世論調査の支持率を偏重する政治家やメディアは、流出が問題になる本当の意味での機密だったのかどうか、国民に聴いてみてはいかがだろう。(文章・NK)

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