文学は政治、イデオロギー、民族主義を超越せよ!村上春樹を高評価―中国出身ノーベル賞作家・高行健氏

Record China    2010年9月27日(月) 18時59分

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27日、中国出身のノーベル賞作家、高行健氏は日本記者クラブで記者会見し「文学は政治権力、イデオロギー、民族主義などを超越すべきだ」とした上で、「人の生存や人間性という普遍的なものについて独自の考え方を自由に表現しなければならない」と強調した。

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2010年9月27日、中国出身のノーベル賞作家、高行健氏は東京の日本記者クラブで記者会見し「文学は政治権力、イデオロギー、民族主義などを超越した自由な存在であるべきだ」とした上で、「人の生存や人間性という普遍的なものについて独自の考え方を自由に表現しなければならない」と強調した。

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東京で開催中の国際ペン大会に招待されて来日した高氏は、「世界的な環境破壊や経済的困難の中で自由な思想や思考が危機にさらされ、文学は政治的な干渉や大衆市場からの制約を受けている」と警告。「民衆の中にひそむ偏狭なナショナリズムや集団主義は世界全体にとって悪いことだと認識する必要がある」との考えを明らかにした。民衆が「集団主義」や「狂気」に陥った事例として、戦前の日本軍国主義、ヒトラーの独裁体制のほか、中国での文化大革命を挙げた。文革では「指導者の責任はもちろん大きいが、大衆の盲目的な運動にも問題があった」と指摘した。

このほか、「文学は人間にそうした負の面があることを知らしめる役割があるかもしれない」と指摘。「感動、憐れみ、畏れといったものは人種や言語の違いを超え、人間が皆持っている共通のものだ」と語り、作家として積極的に表現すべきだとの考えを示した。

また高氏はノーベル賞候補に挙げられている村上春樹氏について「ノルウェイの森を読んだが、モダンな作品で、若い人にファンが多いのはよく分かる」と高く評価した。

高氏は1940年に江西省で生まれ南京で育ったが、現在パリ在住。1989年の天安門事件を批判的に扱った劇作「逃亡」や長江流域を旅する男の見聞と思索を綴った長編小説「霊山」で脚光を浴びた。中国で暮らした過去と海外を流浪する現在を重ね合わせて描いた「ある男の聖書」などが評価され、中国語で執筆する作家として初めて2000年にノーベル賞を受賞した。(取材・編集/HY)

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