<レコチャ広場><尖閣問題>日中ビジネス、一寸先は闇?

Record China    2010年9月25日(土) 12時25分

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「え?船長を釈放したの?」―周囲の同僚たちは日本人も中国人も含め、誰もがびっくりした。もちろん、いま話題の尖閣諸島問題についてのニュースである。写真は釈放された中国漁船船長の家族。

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「え?船長を釈放したの?」―周囲の同僚たちは日本人も中国人も含め、誰もがびっくりした。もちろん、いま話題の尖閣諸島問題についてのニュースである。「日本の態度は中途半端ですね!」と、誰かは言っていた。

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わたしの会社は金融危機後に設立され、中国に日本の情報を伝えるRecord Japanというサイトを運営している。だから、社内には日中両国出身のスタッフがいる。中国国内で日系企業の宣伝や日本観光のPRなどを行っており、日替わりで最新の日本情報を発信し続けている。

尖閣諸島(中国名:釣魚島)付近で発生した海上保安庁巡視船と中国漁船との衝突事件。漁船の船長が勾留されたこの事件後、業務に大きな影響が出ている。日本の企業や観光など、最新情報をどんどん中国のマスメディアに売りこまなければならないはずなのだが、これまで結構興味を示してくれていた編集担当者たちの態度が変わり、難色を示すようになった。サーバー管理の担当者も休みを返上し、不正アクセスなどの対策に追われている。大変な毎日だった。

事務所では毎日、この件について日中のスタッフが議論を続けている。領土問題はわれわれ庶民のレベルで解決できるものではないし、それぞれの意見も平行線をたどったが、「なぜ、今このタイミングで、日本政府は船長を釈放したのか?」―これについては、両国のスタッフの意見は意外と一致した。

「日本ははなからあんなに強気だったのに、中国に反撃されたらすぐ釈放とは、その対応は安易すぎるだろう」

みんながそう感じたようだ。

その時、編集長はタバコを吸いながら彼の体験を語りだした。

彼は数年前、観光客として北朝鮮ツアーに参加し、経済特区・羅先(ラソン)市を訪れた。北朝鮮は羅先市を世界的な加工貿易区にしようと計画しており、その人件費も驚くほど安いと聞き、「ここで製造業のビジネス起こしたらどんなに儲かるだろう」と考えたそうだ。しかし、同行した中国人の貿易業関係者が「北朝鮮企業は効率も悪く信用度も低い」と、この発想をすぐさま否定した。

私は幸い日本と縁があり、現在は日中間を行き来するビジネスをしている。中国は母国、ホームグラウンドなので、人に騙されたりする心配はまずない。そして日本はアジア有数の先進国。この二国間では仕事がしやすい。やり方や方向性に問題なければ、あとは努力次第で成功することが可能だ。05年に一時期日中関係が悪化してからようやく回復に向かい、日本では中国人に対し個人観光ビザを解禁し、多くの中国人が自由に日本に行かれるようになった現在、「ついにわれわれの時代がきた!」と思ったところに、今回の事件が起こった。北朝鮮どころか、日中間のビジネスだって本当にリスクが高い。

「やっていられないね」。誰かが溜息を漏らした。

いずれにしろ、日本企業は中国でものを売らなければならない。日本の観光業界も中国人に来てもらわなければならない。お金を持っている中国人は日本製の商品が欲しい。日本のアニメに夢中の若い世代も中国には数多くいる。商売が成立しないことなどないだろう、と編集長が言う。

「こんなことになると分かっていたら、大学は韓国語を専攻すればよかったかもね」。私は冗談めかして隣の新入社員の女の子に話した。

「そこの君、ダラダラしてないで、先に今の話をまとめて原稿にしてね。みんなにわれわれの大変さを分かってもらわないと。それに、日本人だって中国人だって、何といっても生活を優先しないとね、本当に…」

「ハイ、すぐ書きます」。私はそう返事しながらWORDを開いた。(文/江川)

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