<映画の中のチャイナ>日本漫画オタク的クラシック映画の金字塔!演奏者は中国人〜「のだめカンタービレ」

Record China    2010年1月5日(火) 19時0分

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1月、日本の大ヒットコミックが原作の映画「のだめカンタービレ 最終楽章 前編」。コミックの面白さを満載し、実写とCGを融合させて新しい世界を創造。写真は演奏を担当した中国の著名ピアニストであるラン・ラン(郎朗)。

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2010年1月、3200万部を突破した日本の大ヒットコミックが原作となった映画「のだめカンタービレ 最終楽章 前編」(2009年)。若き「オレ様」指揮者・千秋真一(玉木宏)とそのかなり変わったパートナーであるピアニスト野田恵(通称のだめ、上野樹里)がヨーロッパ留学を果たし、千秋がコンクールで優勝した直後から本作が始まる。

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これまでの筋と登場人物を把握していないと、正直この一編だけで本作の良さを深く理解するのは難しい。そこを見る側の豊かな想像力で補ってもらうと、本作は日本のコミックの何でもあり的な面白さを満載しており、実写とCGをうまく融合させ、「日本漫画オタク的クラシック映画の金字塔」ともいえる新しいクラシック音楽映画の世界を作り出している。

その中の中国要素はまず、主人公千秋に近づいてくる天才中国人女性ピアニスト孫鋭(ソン・ルイ、山田優)。千秋は恋愛感情を持っていないが、彼女の音楽的才能の凄さに対する恐れもあってのだめは強いジェラシーを感じる。

小さい時から英才教育を受け10億人以上の人口から選び抜かれてきた孫は、国際的に活躍する中国系アーティスト、学者、スポーツ選手などごく一握りのエリート中国人を代表するアイコンだ。

孫は、演じる山田の容貌も相まって才能をひけらかすタカビー女かと思うと、全く異なる気さくさでのだめにも親しげに近づいてくる。ストーリーの展開につれて、くったくのない中国人の良さが観客にも伝わってくる。中国以外で本作に登場するロシア、フランスなどの外国人キャラクターはいずれも個性的でその面白さが書ききれないが、彼らは衝突しながらもごく当たり前に友達となり交流している。

これに対して、中国の現実の厳しさを代表するのが孫の母親。どのように絡んでくるかはぜひ劇場で確かめてほしい。

◆原作を知るファンには文句なしの大傑作

「のだめ」の原作を読み、テレビドラマで「上野・のだめ」と「玉木・千秋」に親しんだファンにとっては本作は文句なしの大傑作だ。脇を固める助演陣もとてもいい味を出している。樹里ちゃんはもう彼女以外の女優が演じることは考えられないリアルのだめ、玉木も顔かたちこそコミックと一緒とまではいかないがイメージはぴったり。劇場で見ながら、感情移入して笑ったり声を上げる人が続出していた。

少し改まって評価すると、クラシック音楽を素材にした映画というこれまでの日本では堅苦しくみられてきたジャンルで、これほどまでにハチャメチャな設定と登場人物をうまく踊らせ、それでいて彼らの音楽にかける真剣さと情熱、主役二人の恋、そして登場人物それぞれの青春がくっきりと描かれている二ノ宮知子の原作の力はすばらしい。

映画化によりコミックで伝えられなかった実際の演奏によってしっかりと音楽に囲まれる雰囲気と現実感、そして聴覚による高揚感を観客に与えてくれる。その上で、さらに、実写の世界でも女の子(のだめ)を堅い床に投げつけたり、「変態の森」という空想の世界でアニメと一緒に踊らせたり(この辺は原作を知らないと訳が分からない展開だ)という無茶・乱暴をして、原作のコミック的良さをより以上に自由自在に表現した武内英樹監督も凄い。

◆パリを舞台に、ピアノ演奏は中国人〜海外展開いけるかも

今回主な舞台となったのは千秋がオーケストラを指揮することになったフランスのパリ。フランスでは近年、日本文化が人気で訪日するフランス人も増えている。一つだけ、ふつうなら「めぐ」とか「めぐみちゃん」といわれるヒロインの「のだめ」という愛称がもたらす日本語の語感のおかしさが外国人に伝わるか少し不安だが、いかにも日本のオタク的な部分を持つ映画なので、外国人にみせても面白いと思う。

最後に、もうひとつ隠れた中国要素を紹介すると、のだめ役の演奏をしているのが実は中国の世界的ピアニストであるラン・ラン(郎朗)。彼は2008年に北京五輪の開会式でも演奏した中国でも大人気のアーティストであり、米「タイム」誌が選んだ09年度「世界で最も影響力のある100人」にも入選したほどの著名人だ。

だから、本作は中国で公開しても「新しい日本映画」として結構当たるかもしれない。現在、後編の撮影が進行中だそうで、4月の公開がとても楽しみだ。<映画の中のチャイナ9>(文章:kinta)

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