不祥事が次々発覚する日本製造業、問題はどこに?―中国メディア

人民網日本語版    2017年12月9日(土) 6時40分

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最近、日本の製造業の不祥事が次々に発覚している。背後にある問題の核心は一体何だろうか。

最近、日本の製造業の不祥事が次々に発覚している。背後にある問題の核心は一体何だろうか。新華網が伝えた。(文:江■<さんずいに幹>)

▽輝き失った日本製造業の3種の神器

1960年代から発展が始まった日本製造業には絶対的な3種の神器が存在した。この神器によって日本製造業は国内を席巻し、アジアを席巻し、さらには世界を股にかけるようになった。3種の神器とは、よく知られた終身雇用制度、年功序列の賃金制度、企業内労働組合だ。

終身雇用制度は第二次世界大戦後の日本企業にとって最重要の発明だったといえる。この制度の下、企業は長期にわたり従業員によい暮らしと手厚い福利厚生を提供し、従業員は定年まで企業に奉仕してきた。こうして企業で働く従業員の技術は高度に熟練し、従業員は絶えず上を目指して技能を磨くこともできた。だがこの制度は問題点もはっきりしており、人材の流動性が極端に低くなることが問題だった。企業側は従業員を終身雇用するため、会社制度への重大なルール違反でもなければ、一般的に解雇することができず、巨大な負担を引き受けることになるとともに、従業員の労働生産性を保証することも難しかった。

年功序列の賃金制度の長所は、熟練した従業員や技術の根幹が他社に奪われるのを効果的に防ぐという点にあった。だが問題もあり、従業員の年齢と勤続年数だけで賃金が決まるため、真の能力や職能といった要素があまり重視されず、日本企業では往々にしてポストや序列を過度に重んじるという現象がみられたり、各層で力をもった個人の独占状態が生じたりした。

企業内労働組合では、組合の代表である従業員が資本側と戦い、毎年春に行われる「春闘」などがあるものの、実際には組合は戦ってはおらず、非常に穏健なやり方で妥協していた。この制度が企業内部の価格交渉力を弱体化させた。

日本の高度成長期には、この3種の神器が日本製造業の品質を絶えず向上させ、日本企業は競争力に富んだハイレベルで精度の高い最先端の技術者を豊富に抱えることが可能になった。また日本企業は他国の企業に比べて労使協議のコストが極端に低くて済んだ。だが成功のカギも失敗の原因もこの3種の神器にある。日本製造業の問題は、3種の神器が輝きを失ったことに原因がある。

▽日本で相次ぐ改ざん問題の根源はどこに?

経済状況が右肩上がりで、高度成長を遂げていた頃、日本では国内外の二重の経済制度が形作られた。国内では3種の神器が生まれ、国外では世界でもまれなメーンバンク制度が構築された。メーンバンク制度とは、銀行は企業に資金を貸し出すだけでなく、企業の経営にも参加するというものだ。そして日本企業の不祥事の根本も、この制度にあるといえる。

第一に、日本企業は短期的な利益しかみていないといえる。これまでの日本企業はメーンバンクの力強い支えがあり、資金繰りが問題になることはほとんどなかった。そこで企業は長期的な経営収益システムの構築に勢力を注ぐことができ、品質を管理を絶えず強化することができ、非常に細やかな製品の品質改良に取り組むこともできた。だが1992年に金融バルブの崩壊が始まると、メーンバンクは巨大な危機に直面し、資金繰りが厳しくなり、コントロール下にある企業に対し利益を上げるよう強く求めるようになった。強い要求を受けて、日本企業の上層部は短期的な決算をますます重視するようになり、利益水準を引き上げることばかり考えるようになり、品質の問題はどこかに追いやられ、末端の管理職に責任を負わせるようになった。短期的な利益ばかりを追求得するようになり、末端の現場に指標の達成を口うるさく言うようになり、重要業績評価指標(KPI)を過度に追求するようになった結果、末端の管理職がどうにもならなくなって不正に手を染める可能性が高まった。

第二に、日本企業の雇用体制は崩壊しているといえる。終身雇用制という環境の中で、従業員はエネルギッシュに製品の品質向上に努めてきたが、メーンバンクは企業に対しコスト削減を絶えず要求するようになった。日本企業の最大のコストは人件費だ。95年にバブルが完全に崩壊すると、日本経済団体連合会が「新時代の『日本的経営』」を打ち出した。このモデルを踏まえ、日本企業は派遣労働スタイルにより大量の非正規労働者を雇用するようになり、統計によれば、日本のこうした「臨時労働者」は全労働者の40%以上を占めるようになった。非正規の人々は企業に対して帰属感をもてず、企業の技術の進歩、製品の品質、生産性の改善に関心をもつこともない。

第三に、日本企業はプライドが高すぎるといえる。日本の銀行産業をみると、日本企業は世界で最も緻密な製造を行っており、銀行と企業は市場の反応に対してしばしば傲慢な態度を取り、自分たちの伝統的な品質の優位性に過大な自信をみせる。そして銀行は企業の利益ばかりを重視し、経営戦略や将来への対応の研究がおろそかになった。このような身勝手な自信が日本企業の経営者の戦略判断を誤らせることは多く、戦略的な大失敗を引き起こすこともある。東芝がまさにこのような状況だった。

日本製造業の改ざん問題の根っこは金融システム全体の崩壊にある。この問題を受けて金融がもつ深層レベルの意義を直視せざるを得ない。金融リスク対策はどれほど重視してもしすぎるということはない。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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