<直言!日本と世界の未来>“風頼み”では困る、冷静な政策論争を=突然の衆院解散と民進党分裂は残念―立石信雄オムロン元会長

配信日時:2017年10月7日(土) 4時30分
衆院選挙“風頼み”では困る、冷静な政策論争を―立石オムロン元会長
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主要国のなかで長期政権を築き、比較的安定していると見られていた安倍晋三政権が、突如衆院を解散。10月22日に衆院投開票が実施されることになった。北朝鮮の核ミサイル開発の脅威が迫る中で、「好機」と判断したのかもしれないが、大きな混乱を招いている。
日本の政局が風雲急を告げている。主要国のなかで長期政権を築き、比較的安定していると見られていた安倍晋三政権が、突如衆院を解散。10月22日に衆院投開票が実施されることになった。北朝鮮の核ミサイル開発の脅威が迫る中で、「好機」と判断したのかもしれないが、大きな混乱を招いている。政権を担い2大政党制の一翼と期待された民進党が解党し、希望の党と立憲民主党に分裂したのは、政界の大きなうねりの中でやむを得ないこととはいえ、残念なことである。

小池百合子・東京都知事が新党「希望の党」を立ち上げ、民進党からの合流組を含む計192人の第1次公認を発表。希望の党から「排除」された枝野幸男元官房長官、管直人元首相らでつくる新党「立憲民主党」も同日、党設立を届け出た。民進党が公認を内定していたのに希望の党から公認を得られなかった議員や立候補予定者も次々参加を表明している。

これにより「自民・公明」「希望の党・日本維新の会」「立憲民主・共産・社民」の3極が争う構図が出来上がったようである。枠組みがすっきりしたとの見方もあるようだが、数合わせの論理が垣間見えるのは否めない。今後の展開を注視する必要があろう。

私は<当コラム直言篇19>「問われる『自民1強』へのチャレンジ=民進党代表選に寄せて」で書いたように、民主主義が機能するためには、頼れる健全な野党が必要と考える。政権交代に現実味がなければ、政権党は緊張感を失い、おごりや腐敗につながりかねない。党首をはじめとする政党幹部が国民から信頼されることである。企業でも、長期にわたり同じ人物同じ仕事をしていると、外部の取引先などと癒着をし、問題を起こすことも少なくない。

それにしても、風頼みで政策論争は二の次になる我が国の政治風土は何とかならないものか。解散総選挙にかかる費用はざっと700億円に上ると見られている。政党助成金は党の自由裁量で使えるということではあるが、民進党への政党助成金がどのように使われるかが気になるところだ。

懸念しているのは、今回の“騒動”をきっかけに、今後、数合わせの論理で離合集散が繰り返されてしまうのではないかとの点である。政策や理念が置き去りにされ、中長期的なビジョンより短期的な人気取り政策がさらに優先されてしまうのではと危惧する。

政府は20年度に国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する目標を先送りした。自民党の公約は「財政健全化の旗は明確に掲げつつ、不断の歳入・歳出改革努力を徹底する」と言及するにとどまり、財政再建への姿勢が後退している。原発政策や少子高齢化対策についてもほとんど具体策が打ち出されていない。

今回の衆院選は、「安倍1強」の5年間への審判と、次の4年をだれに託すかの政権選択である。「安倍政治」をどう評価し、どこをどう変えるのか。この点を明確に説明することができることこそが、野党としての最低限の責任ではないだろうか。
<直言篇23>

■立石信雄(たていし・しのぶお)
1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC=企業市民協議会)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。公益財団法人・藤原歌劇団・日本オペラ振興会常務理事。エッセイスト。
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