<コラム>北朝鮮の核問題は解決の最終局面に来ているのか?3つの要因が北朝鮮を変化させた可能性も

勝又 壽良    2018年3月23日(金) 19時20分

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米朝関係に大きな変化が出ている。米国のCIAが北朝鮮と地下で接触した結果、米朝対話のきっかけが生まれたことは間違いないようだ。写真は北朝鮮。

米朝関係に大きな変化が出ている。米国のCIAが北朝鮮と地下で接触した結果、米朝対話のきっかけが生まれたことは間違いないようだ。米国務長官の突然の交代も、この地下接触説を裏付けている。外交ルートの交渉ではそれぞれの思惑が影響するが、地下交渉ではダイレクトの取引が行なわれていると思われる。

韓国の文在寅大統領は、南北会談と同時に米国も加わった「三者会談」の準備を事務当局に命じた。これは、米朝の地下交渉が順調に進んでいる様子を窺わせている。これが実現すれば、何がここまで北朝鮮を変化させた要因かが問われる。

第一は、北朝鮮の経済的な困窮である。国民の不満は沸騰しており、市場でのコメの値段は最近2倍に跳ね上がった。電力不足も深刻である。鴨緑江の発電所では96%を中国に売電しているほど。

第二は、金正恩氏の実妹の与正氏を平昌五輪開会式に派遣して、韓国との経済格差を痛感して、核放棄を兄に強く進言したのでないか。金委員長は、与正氏の意見を最も重視すると言われる。女性は戦争よりも平和を好むので、平和路線を強調した可能性があろう。

第三は、中朝関係の悪化である。かつて中国はソ連との関係悪化を凌ぐために、米国へ接近し米中共同でソ連と対抗した。これで中ソ戦争を回避できた経緯がある。北がこの歴史を利用して、米国へ接近し中国との対立緩和を狙う戦略を取ったとしても不思議はない。

いずれにしても、北朝鮮が核を放棄し朝鮮半島が平和になるのは歓迎すべきだ。現在、そういう動きが強まっていることは否定しがたいように見える。楽観はできぬが、悲観すべき理由も見当たらない。

■筆者プロフィール:勝又壽良

横浜市立大学商学部卒、経済学博士(中央大学)、元『週刊東洋経済』編集長、元東洋経済新報社編集局長、元東海大学教授、元東海大学教養学部長。経済記者30年、大学教員16年の経験を持つ。

■筆者プロフィール:勝又 壽良

1936年生まれ。横浜市立大学商学部卒 経済学博士(中央大学)元『週刊東洋経済』編集長、元東洋経済新報社編集局長、元東海大学教授、元東海大学教養学部長。2010年5月から、アメブロで中国と韓国を主体に「勝又壽良の経済時評」を毎日更新。経済・外交などのメディア情報に基づきこれまでの経験を生かし執筆している。経済記者30年、大学教員16年で得た知見を生かして日々の内外情報と格闘している。どうぞ、ご支援を!

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